応用情報/対策/財務編】○○回転日数【一瞬で丸分かり!(後編)

○○回転日数 後編

はじめに

前回は、総資産回転日数、棚卸資産回転日数、売上債権回転日数、在庫回転日数、売掛金回転日数についてやりました。今回は仕入債務回転日数現金預金回転率流動比率固定比率損益分岐点について解説していきます。

ここで取り上げた、指標の知識をつけることで、資産の効率的な活用や経営の健全性を評価し、キャッシュフローを改善する方法を見つけ出せるようになります。是非ひとつ上のキャリアを目指してやっていきましょう!

【今回扱う5つの用語】
()括弧はどのように役立つかを示しています。

  • 仕入債務回転日数(支払いの適切なタイミングを把握し、資金管理や取引先との関係を最適化することができる)
  • 現金預金回転率(投資家は、将来の収益性や成長性を予測し、投資判断に活かすことができる)
  • 流動比率(企業が短期の支払いに対してどれだけ準備ができているかを把握でき、財務の健全性や安定性を評価することができる)
  • 固定比率(企業の経営戦略や競争力、投資価値などに関する重要な情報を得ることができる)
  • 損益分岐点(企業は最低限の売上目標を設定することができる)

仕入債務回転日数

仕入債務回転日数

$$\text{仕入債務回転期間(月)} = \frac{\text{仕入債務}}{\text{1か月あたりの仕入高}}$$

$$\text{仕入債務回転期間(日)} = \frac{\text{仕入債務}}{\text{1日あたりの仕入高}}$$

  • 仕入債務回転日数は、企業が仕入れを行い、その支払いを行うまでの平均日数を示す指標です。
  • 仕入債務回転日数が短いほど→企業は仕入れに対する支払いを迅速に行っており、資金の効率的な運用が可能です。
  • 仕入債務回転日数が長いほど
    • 企業が仕入れを行ってから支払いを完了するまでの時間が長いことを意味します。
    • 企業が資金を有効活用できない可能性があります。
ケーススタディ:仕入債務回転日数

例えば、ある企業が商品を仕入れると、通常はその商品の代金を30日後に支払うという取引条件を持っているとします。もし、仕入れた商品が1月1日に到着したとします。その場合、支払い期限は1月31日です。したがって、仕入債務回転日数が30日の場合、企業は仕入れた商品の支払いを1月31日までに行う必要があります。

このように、仕入債務回転日数が30日であれば、企業は商品を仕入れてから30日以内に支払いを行う必要があるということです。

現金預金回転率

現金預金回転率

$$\text{現金預金回転率(回)} = \frac{\text{売上高}}{\text{現金及び預金}}$$

  • 現金預金回転率とは、企業が保有する現金や預金をどれだけ効率的に使用しているかを示す指標です。
  • 現金預金回転率は、一定期間内に現金や預金がどれだけ回転したかを示します。
  • 現金預金回転率が高いほど→短期間で現金や預金を投資や支払いに回すことができており、資金を効率的に活用していると言えます。
  • 現金預金回転率が低いほど→現金や預金が滞留しており、資金の運用が不十分である可能性があります。
ケーススタディ:現金預金回転率

例えば、ある小売店が1年間で売上高が1,000万円で、その期間に店舗の現金及び預金の合計額が200万円だったとします。この場合、現金預金回転率は以下のように計算されます。

$$\text{現金預金回転率(回)} = \frac{\text{1000}}{\text{200}}=5$$

この数字は、1年間で現金及び預金が5回転したことを意味します。つまり、この小売店は1年間で現金を使って商品を仕入れ、その商品を販売して収益を上げる過程で、現金を5回使い回したということです。

流動比率

流動比率

$$\text{流動比率} = \frac{\text{流動資産}}{\text{流動負債}}$$

  • 流動比率とは、企業が短期間内に支払いに必要な能力を示す指標です。
  • 流動比率は企業が支払い期限が迫った短期の借金や請求書などの支払いを行うのに、どれだけの現金や流動性の高い資産を持っているかを示します。
  • 流動比率が1より大きい場合、一般的に企業は支払いに対して十分な準備ができていると考えられる

流動資産:企業が1年以内に現金化できる資産(現金、預金、売掛金など)の総額を示す

流動負債:1年以内に支払い期限のある負債(短期借入金、仕入債務など)の総額を示します。

ケーススタディ:流動比率

例えば、企業Aの流動資産が1,000万円で流動負債が500万円の場合、流動比率は次のように計算されます。

$$\text{流動比率} = \frac{\text{1000}}{\text{500}}=2$$

この場合、企業Aは支払い期限のある負債を支払うための流動資産を2倍持っていることになります。一般的に、流動比率が1より大きい場合、企業は支払いに対して十分な準備ができていると考えられます。

固定比率(固定資産比率)

固定比率

$$\text{固定比率} = \frac{\text{固定資産}}{\text{自己資本}}$$

  • 固定比率は、企業の負債の一部が長期的な借入金である場合、その比率を表します。
  • 固定比率が高いほど→企業が長期的な借入金を多く利用していることを示し、経営リスクが高いと考えられます。
  • 固定比率が低い場合ほど→企業が自己資本を主に利用していることを示し、安定した財務状態であると考えられます。
  • 一般的に小さい方がよいとされる
ケーススタディ:固定比率

例えば、会社Aと会社Bという2つの企業を比較してみましょう。会社Aの固定資産比率が30%であり、会社Bの固定資産比率が15%であるとします。

この場合、会社Aは固定資産を総資産の30%持っている一方で、会社Bは固定資産を総資産の15%しか持っていません。したがって、会社Aの方が比較的に多くの固定資産を保有していることがわかります。

この比較から、会社Aはより多くの設備や施設を所有している可能性が高く、製品の生産能力が高いかもしれません。一方で、会社Bは比較的に少ない固定資産比率を持っており、より柔軟な資産構造を持っているかもしれません。

このように、固定資産比率を比較することで、企業の資産構造や経営戦略の違いを理解することができます。

p.s.固定比率だけでは投資の判断材料としては不十分なので純利益などの他の指標にも目を向けましょう!

損益分岐点

損益分岐点

$$\text{損益分岐点売上高} = \frac{\text{固定費}}{\text{限界利益率}}$$

$$\text{限界利益率} = \frac{\text{売上高-変動費}}{\text{売上高}}$$

$$\text{変動費率} = \frac{\text{変動費}}{\text{売上高}}$$

  • 損益分岐点とは、企業が利益を出すか損失を出すかが逆転するポイントのことです。
  • 損益分岐点は、企業が販売する製品や提供するサービスにかかる固定費変動費を考慮して、売上高が何単位に達すると収支がゼロになるかを示すポイントです。
  • 例えば、ある企業が商品を生産する場合、製造設備や管理費などの固定費がかかります。また、生産した商品の生産費や原材料費などの変動費もかかります。損益分岐点とは、この固定費と変動費を製品の売上高から差し引いた金額がゼロになる販売数量や売上高のことを指します。
ケーススタディ:損益分岐点売上高

例えば、あるお店が月々固定費として家賃や給料などの固定的な費用が10万円かかっているとします。また、そのお店が売る商品の原価が1個あたり100円で、1個の商品を売ると10円の利益が出ます。

この場合、損益分岐点を計算すると、固定費を限界利益率で割った金額となります。限界利益率は、1個の商品を売ることによって得られる利益の割合を示します。

例えば、限界利益率が10%の場合、1個の商品を売ると10円の利益が得られるため、この場合の損益分岐点は、

$$\text{損益分岐点売上高} = \frac{\text{10万}}{\text{10%}}=100万$$

つまり、月に100万円以上の売上を達成すれば、固定費をまかなええ、利益が出ることになります。

おわりに

今回は、【仕入債務回転日数、現金預金回転率、流動比率、固定比率、損益分岐点売上高】についてやってきました。

思ったより、簡単だったのではないでしょうか?この積み重ねが私たちを1つ上のキャリアに連れてってくれるでしょう!では、今日はこの辺で終わります。さらばじゃ!

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