はじめに
ITの勉強において、やっぱり全範囲を網羅的に勉強しようと思ってもなかなか、先輩・上司に追いつき追い抜くことって時間がかかるものです。そのせいでモチベーション下がったり……
だったら、1つのことに1点集中して『これに関しては同レベルor僕の方が上だ!』と思える領域を少しずつ作っていきましょう!それを続けていけば、どんどんどんどん勝てる領域が多くなり、気づいたら自分が行きたい場所に登り詰めるでしょう!
ということで今回は損益分岐点(固定費・変動費・変動費率)について問題を解きながら、進めていきましょう!
まずは問題に触れてみよう!
条件:
ある商品を販売する会社が、以下のような経営データを持っています。
- 商品1個あたりの販売価格:1,500円
- 変動費(1個あたり):600円
- 固定費(1か月あたり):900,000円
問1:
損益分岐点(売上高における)を計算してください。
問2:
この商品を1,300個販売した場合の利益はいくらになるかを計算してください。
問3:
この会社の変動比率(変動費率)は何%ですか?
ここからは一旦、基本知識を挟みます。もし、答えだけ知りたい方はこちらからすっ飛ばしてください。
損益分岐点ってなに?
損益分岐点とは、「収入と支出がちょうど同じで、利益も損失もゼロになる売上のこと」です。簡単に言うと、赤字でも黒字でもない状態ですね。
この損益分岐点を知ることで、ビジネスがどれだけ売れば利益が出るのかを把握できます。例えば、「この商品を何個売れば会社が黒字になるか?」というのが損益分岐点を使うとわかります。
計算方法:
損益分岐点には2つの式があります。1つは損益分岐点となる「販売数量」でもう一つは、「売上高(値段)」です。
一般的に、損益分岐点を求めなさいと言われたら、売上高における損益分岐点を指します。
販売数量における損益分岐点:
$$損益分岐点(数量)=\frac{固定費}{販売価格-変動費}$$
で、これに販売価格を掛ければ売上高損益分岐点が求められる。
(\(数量損益分岐点 \times 販売価格 = 売上高損益分岐点 \))
式のイメージとしては、分母の『販売価格-変動費で1個当たりの利益』を出す。で、それの何個分が固定費なのかを求めるって感じですね。
◎売上高(値段)における損益分岐点:
$$損益分岐点=\frac{固定費}{1ー変動費率}$$
これは、以下の損益分岐点となる売上高を\(x\)と置いた式から導出されている
①\((1-変動比率) \times x=固定費\)
→②\(x\)で解く(1-変動比率で割る)と\(x=\frac{固定費}{(1-変動比率)}\)
式のイメージとしては、①で分母の『\(1-変動比率=売上高に占める利益の割合\)』を出しています。利益とは自由に使えるお金であるため、固定費に割り振ることができる。で、『\((利益の割合) \times 売上高(x)=固定費\)』を解けば損益分岐点が分かるって感じです。
損益分岐点の知識をつける意味は?
損益分岐点を知ることは、会社の経営にとって非常に重要です。なぜなら、以下のような理由があるからです。
1.目標設定
会社は黒字を出さなければ長期的に存続できません。損益分岐点を知ることで「最低限これだけは売らないといけない」という明確な目標がわかります。
2.コスト管理
損益分岐点は「固定費」(一定の期間にかかる費用)と「変動費」(売上に応じて増減する費用)を使って計算されます。これを分析することで、コスト削減や効率的な運営が可能になります。
3.利益予測
損益分岐点を超えた売上からは、商品を1つ売るごとに利益が出ることになります。これを知ることで、将来の利益がどのくらいになるかを予測することができます。
固定費・変動費・変動費率の基本知識
固定費:
固定費とは、売上や生産量に関係なく、常に一定額かかる費用のことです。
つまり、会社が何も売らなくても毎月必ずかかるお金です。
- 家賃:お店や工場の場所代は、売上に関係なく支払わなければなりません。
- 従業員の給料:社員を雇っている場合、商品の売れ行きに関係なく支払う給料です。
- 機械のリース費用:機械を借りている場合、そのリース代も固定費です。
特徴:売上が増えても減っても、同じ金額がかかります。
変動費:
変動費とは、売上や生産量に応じて変動する費用のことです。
つまり、商品を多く作れば作るほど費用が増え、少なければ減る費用です。
- 原材料費:商品を作るための材料。商品を作らなければ原材料費もかかりません。
- 製造にかかる電気代:生産が増えると工場の電気代も増えます。
- 包装費:商品を包装するための材料費や手数料は、売れた数によって変わります。
特徴:商品を多く売ると、それに比例して費用が増える。
変動費率:
変動比率とは、売上に対して変動費がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。
簡単に言うと、「1円の売上に対して、何円が変動費としてかかっているのか」を割合で表したものです。
計算方法:
$$変動費率=\frac{変動費合計}{売上合計}$$
$$変動費率=\frac{1つあたり変動費}{1つの販売価格}$$
たとえば..
- 商品1個の売上合計が1,000円、変動費合計が600円だとします。
- このとき、変動比率は次のように計算できます。
$$\frac{600}{1,000}=0.6$$
つまり、この場合は売上の60%が変動費としてかかっていることになります。
答え合わせ:
では、冒頭の答え合わせをしていくぞよ。
条件:
ある商品を販売する会社が、以下のような経営データを持っています。
- 商品1個あたりの販売価格:1,500円
- 変動費(1個あたり):600円
- 固定費(1か月あたり):900,000円
問1:
損益分岐点(売上高における)を計算してください。
では、ここでは
・\(損益分岐点(数量)=\frac{固定費}{販売価格-変動費}\)
・\(数量損益分岐点 \times 販売価格 = 売上高損益分岐点 \)
この2つの式を使って求めていきましょう!
\(\frac{固定費}{(販売価格-変動費)}=損益分岐点数量\)より、
$$ \frac{900,000}{(1500-600)}=1,000$$
\(数量損益分岐点 \times 販売価格 = 売上高損益分岐点 \)より、
$$ 1,000 \times 1,500 = 1,500,000 $$
Ans.1,500,000円
問2:
この商品を1,300個販売した場合の利益はいくらになるかを計算してください。
では、まずは利益(販売価格-変動費)を求めます。また、変動費とは販売個数によって変化する値なのでそれもしっかり考慮に入れましょう。で、さいごは固定費を引くっていう流れでやっていきます。
\(販売価格 \times 数量 – 変動費 \times 数量 = 1つあたりの利益 \)より
$$1,300 \times 1,500 – 1,300 \times 600 = 1,170,000 $$
ここから固定費を引くと、
$$1,170,000-900,000=270,000$$
Ans.270,000円
問3:
この会社の変動比率(変動費率)は何%ですか?
\(変動費率=\frac{変動費}{売上高}\)という式を使ってやっていきましょう!
\(変動費率=\frac{変動費}{販売価格}\)より、
$$\frac{600}{1,500}=0.4$$
Ans.40%
まとめ
要するに…
損益分岐点とは、企業が赤字から黒字に転じるために必要な売上や販売数量を示す重要な基準です。つまり、どれだけ売上を上げれば利益が出るのか、またはどれだけの商品を販売すれば利益が出るのかを判断するためのポイントです。損益分岐点には大きく分けて2つの種類があり、1つは販売数量に基づく損益分岐点で、もう1つは売上高に基づく損益分岐点です。一般的に「損益分岐点」と言った場合、売上高ベースの損益分岐点を指すことが多いですが、文脈によっては数量ベースを意味することもあります。
損益分岐点に達した時点では、収入と費用がちょうど同じであり、利益はゼロです。この状態では、企業は赤字でも黒字でもなく、固定費や変動費などのすべての費用が売上によってちょうど賄われている状態です。ここからさらに売上が増えれば黒字となり、反対に売上が損益分岐点に達していなければ赤字ということになります。したがって、損益分岐点は経営において非常に重要な指標であり、企業がどの程度売上を達成すれば利益を得られるかを知るための基本的な目安です。
損益分岐点を求める際には、固定費、変動費、そして変動費率という概念が重要になります。固定費は、販売数量に関係なく定期的に発生する費用で、例えば家賃や基本的な人件費などがこれに該当します。固定費は販売数に影響されないため、どれだけ売上が増えようと一定額であるという特徴があります。これに対して、変動費は販売数量に応じて増減するコストです。例えば、商品を製造するための材料費や、工場を稼働させるための電気代などが変動費にあたります。販売数量が増えるとそれに比例して変動費も増加します。工場の例で言えば、生産を増やすために機械を長時間稼働させることで電気代が増えたり、より多くの材料を仕入れる必要が生じるため、変動費が上昇するというイメージです。
変動費率とは、販売価格に対する変動費の割合を示すもので、1個の商品を販売する際に、その販売価格の何割が変動費に使われているかを示します。たとえば、販売価格が1,500円で、変動費が600円であれば、変動費率は40%ということになります。この40%という数字は、1,500円の販売価格のうち600円が変動費として消費され、残りの900円が固定費や利益に使えるということを意味しています。このように、変動費率を用いることで、販売した商品がどれだけ利益に貢献しているか、またはどれだけ固定費をカバーできるかを理解することができます。
まとめると、損益分岐点を理解することで、企業は赤字から黒字に転じるために必要な売上や販売数量を把握し、どの程度の売上を目指すべきかを明確にすることができます。損益分岐点を超えることで初めて企業は利益を得られるため、この基準点は経営において極めて重要な役割を果たします。
数式まとめ:
$$損益分岐点(数量)=\frac{固定費}{販売価格-変動費}$$
$$数量損益分岐点 \times 販売価格 = 売上高損益分岐点 $$
$$損益分岐点=\frac{固定費}{1ー変動費率}$$
$$変動費率=\frac{変動費}{売上高}$$
おわりに
本日は『損益分岐点』について知見を深めました!
これでまた、一歩成長しました!これからも焦らず、1つずつ頑張っていきましょう!
やはり、知識をつけることは大切じゃからのぉ。知識があれば大抵のことはできる。逆に知識がなければ、できるもんもできない。これが世の理じゃよ。
今日のSeeYouソングは「What Makes You Beautiful – One Direction」です。この曲は自己評価の低い女の子に向けて、彼女が気づいていない美しさを伝えるというテーマの曲です。恋愛をしている人だけでなく、していない人でも背中を押してくれる曲です。では、どうぞっ