はじめに
ITの勉強において、やっぱり全範囲を網羅的に勉強しようと思ってもなかなか、先輩・上司に追いつき追い抜くことって時間がかかるものです。そのせいでモチベーション下がったり……
だったら、1つのことに1点集中して『これに関しては同レベルor自分の方が上だ!』と思える領域を少しずつ作っていきましょう!それを続けていけば、どんどんどんどん勝てる領域が多くなり、気づいたら自分が行きたい未来に辿りつきます!
ということで今回はEVM(Earned Value Management)についてやっていきましょう!
結論を言うと、EVMとは『プロジェクトのコストと進捗を評価する指標』です。
まずは問題!
あるプロジェクトでは、以下のデータが得られました。
- PV(計画価値) = 100万円
- EV(出来高価値) = 80万円
- AC(実コスト) = 120万円
- BAC(完了時総予算) = 500万円
この時点での以下の指標を求めなさい。
- SV(スケジュール差異)
- CV(コスト差異)
- CPI(コストパフォーマンス指数)
- EAC(完了時見積り)
これを最初から解ける人は少ないと思います。
でも、後述された内容を読めば解けるようになります!では、やっていきましょう!
p.s.もし、解けちゃった方はこちらで答え合わせをどうぞ!
EVMの基本知識
EVM(Earned Value Management)は、プロジェクトの進捗とコストを定量的に評価するための手法です。これにより、プロジェクトが計画通りに進行しているか、またコストが予算内に収まっているかを判断し、プロジェクトのパフォーマンスを管理します。
EVMの知識はこんな時に役立つ!
- プロジェクトの進捗とコストを可視化できる:
- EVMを使うことで、進捗やコストの状況を数値として明確に把握できます。単純に「予定通り進んでいるかどうか」を確認するだけでなく、予定に対する遅れや予算超過を具体的なデータで把握できるため、定量的な判断が可能になります。
- リスクの早期発見と対応:
- プロジェクトが進行していると、思わぬ問題が発生することがあります。EVMでは、SV(進捗差異)やCV(コスト差異)といった指標により、予定と現実のギャップを早期に発見できます。これにより、リスクを察知して迅速に対応策を講じることができます。
- 正確な将来予測のため:
- EVMを使用すると、EAC(完了時の予測コスト)などの指標により、プロジェクトが完了するまでにどれくらいのコストがかかるか、完了予定はいつかを予測できます。これは、プロジェクトの最終的な成功を予測し、必要なリソースを事前に調整するのに役立ちます。
- 意思決定をデータに基づいて行うため:
- プロジェクト管理者がEVMを理解していると、意思決定を定量的なデータに基づいて行うことができます。直感や経験に頼るのではなく、客観的なデータに基づいた意思決定ができるようになるため、プロジェクトの成功率が向上します。
- プロジェクトステークホルダーとの信頼関係の構築:
- プロジェクトの進行状況を数値で報告することで、ステークホルダー(顧客、上司、関係者)に対してプロジェクトがどう進んでいるかをわかりやすく説明でき、透明性が高まります。これにより、プロジェクトへの信頼が向上します。
上記のような特徴からEVMは
・プロジェクト管理
・予算管理とコストコントロール
・進捗報告
・資源管理
などに役立ちます!
では、つぎは実際にどのような指標(PV、EV、AC、CPI、BAC、EAC、SV、CV)を使って評価するのか見ていきましょう!
PV(Planned Value:予定価値):
予定された価値。プロジェクトの特定の時点までに完了すべき作業に基づいて、計画段階での予算を示します。
例: もし1ヶ月で100万円の作業をする予定なら、1ヶ月後のPVは100万円です。
EV(Earned Value:実績価値):
実績価値。実際に完了した作業に基づいて、実際に得られた価値を示します。
例: 1ヶ月経った時点で、実際に80万円の作業が完了していれば、EVは80万円です。
AC(Actual Cost:実コスト):
実際コスト。実際にかかった費用を示します。
例: 1ヶ月で実際にかかった費用が90万円なら、ACは90万円です。
CPI(Cost Performance Index: コストパフォーマンス指数)
コストの効率を示す指標。計画されたコストに対する実際のコスト効率を示す。
例: EVが150万円、ACが180万円なら、CPI = 150万円 ÷ 180万円 = 0.83 → コスト効率が悪い。
- CPI > 1: コスト効率よい!(予算内で進行している)。
- CPI < 1: コスト効率が悪い(予算超過)。
計算式:
$$CPI = EV ÷ AC$$
BAC(Budget at Completion: 完了時総予算)
プロジェクト完了時に予定されている総予算。プロジェクト開始時に決められた全体予算。
例:プロジェクトのBACが500万円であれば、プロジェクト全体にかかる予定のコストは500万円。
EAC(Estimate at Completion: 完了時見積り)
プロジェクトが完了する時点で、最終的にどれくらいのコストがかかるかを推定した値。プロジェクトの進行状況や実績に基づいて、予算を再評価するための指標。
計算式
EACには状況に応じていくつかの計算方法があります。以下は代表的な計算式です:
1 . \(EAC = AC + (BAC – EV)\)
- 適用場面: 残りの作業が当初の計画通りに進むと仮定した場合。
- 式の意味: 現時点で実際にかかったコスト(AC)に、残りの作業の計画コスト(BAC – EV)を加えます。
- 例: BACが500万円、ACが180万円、EVが150万円の場合、
- EAC = 180万円 + (500万円 – 150万円) = 530万円
→ プロジェクトが完了するまでに530万円かかると推定されます。
- EAC = 180万円 + (500万円 – 150万円) = 530万円
2 . \(EAC = BAC ÷ CPI\)
CPIは『\(CPI=EV÷AC\)』で求められます。
- 適用場面: 過去のコストパフォーマンスが今後も変わらないと仮定した場合。
- 例: BACが500万円、EVが150万円、ACが180万円の場合、まずCPIを計算します。
- CPI = 150万円 ÷ 180万円 = 0.83
その後、EACを計算します: - EAC = 500万円 ÷ 0.83 ≈ 602.41万円
→ プロジェクトが完了するまでに約602万円かかると予測されます。CPIが1未満なので、予算オーバーのリスクが高いことがわかります。
- CPI = 150万円 ÷ 180万円 = 0.83
SV(Schedule Variance:進捗差異):
スケジュール差異。EVとPVの差で、スケジュールが計画通りの進捗なのかを示します。
- SVが正なら→進捗が予定より早い
- SVが負なら→進捗が遅れている
計算式
$$SV = EV – PV$$
CV(Cost Variance:コスト差異):
コスト差異。EVとACの差で、コストが予算通りかどうかを示します。
- CVが正なら→コストが予算より少ない(=削減成功)
- CVが負なら→コストが予算を超過している(=テコ入れの必要あり)
計算式:
$$CV = EV – AC$$
練習問題!
あるプロジェクトでは、以下のデータが得られました。
- PV(計画価値) = 100万円
- EV(出来高価値) = 80万円
- AC(実コスト) = 120万円
- BAC(完了時総予算) = 500万円
この時点での以下の指標を求めなさい。
- SV(スケジュール差異)
- CV(コスト差異)
- CPI(コストパフォーマンス指数)
- EAC(完了時見積り)
Answer
- SV=EV-PVより『-20万』
- CV=EV-ACより『-40万』
- CPI=EV÷ACより『\(\frac{2}{3}\)≒0.67』
- EAC=BAC÷CPIより、『約746.27万』
これらの結果から、プロジェクトは進捗が遅れていて、コストも超過していることが明らかです。
もう一丁おまけの練習問題!
あるプロジェクトの以下のデータがあります。
- BAC(完了時総予算) = 800万円
- AC(実コスト) = 400万円
- EV(出来高価値) = 350万円
- CPI(コストパフォーマンス指数) = 0.875
このプロジェクトの進行状況について、以下に答えなさい。
- 最終的にかかるコスト(EAC)を求めなさい
(CPIを使って計算してください)
Answer
- EAC=BAC÷CPIより『約914.29万円』
プロジェクトが完了するまでにかかるコストは、コスト効率が現在のままであれば、約914.29万円のコストがかかることになります。
まとめ
要するに…
EVM(Earned Value Management)は、プロジェクトの進捗とコストを管理し、評価するための手法です。この手法を使うことで、進捗状況やコストが定量的に可視化され、客観的に評価できるという大きなメリットがあります。これにより、プロジェクトが計画通り進んでいるか、どれくらいの予算で完了するのかを予測しやすくなり、顧客や上司への報告もスムーズに行えるようになります。また、プロジェクトのリスクを早期に発見し、迅速に対応することができるようになる点もEVMの重要な利点です。
まず、PV(Planned Value)は、ある時点での計画価値、すなわちその時点でどれだけの作業が完了しているべきかを示します。一方、EV(Earned Value)は、実際にその時点までに完了した作業に対する価値を表します。これに対して、AC(Actual Cost)は、その価値を生み出すために実際にかかったコストです。これらの指標を用いることで、プロジェクトの進捗状況やコストの健全性を評価します。
コスト効率を測定する指標として、CPI(Cost Performance Index)があります。CPIはEVをACで割る(\(CPI=EV÷AC\))ことで求められます。この値が1以上であればコスト効率が良好で、プロジェクトは予算内で進んでいることを意味します。逆に1未満の場合、予算を超過していることを示し、コスト管理が問題となっている可能性があります。
また、プロジェクトの総予算を示すBAC(Budget at Completion)は、プロジェクト開始時に決定された予算の総額です。そして、EAC(Estimate at Completion)は、プロジェクトが完了するまでにかかると予測される最終的なコストを表します。EACは2つの方法で計算できます。1つは、現在のコスト効率がこのまま続くと仮定した場合にBACをCPI(\(EAC=BAC÷CPI\))で割る方法です。この計算により、現在のパフォーマンスが継続した場合、どれくらいのコストでプロジェクトが完了するかが推定されます。もう1つは、現在までにかかったコスト(AC)に、残りの作業にかかる予定コスト(BACからEVを引いたもの)を加える方法(\(EAC=AC+BAC-EV\))です。この方法は、プロジェクトが今後計画通り進行すると仮定した場合の完了コストを示します。
次に、SV(Schedule Variance)はプロジェクトの進捗が予定よりも進んでいるか遅れているかを測定するための指標です。SVはEVからPVを引くこと(\(SV=EV-PV\))で求められます。正の値であればプロジェクトは予定よりも進んでおり、負の値であれば進捗が遅れていることを示します。
最後に、CV(Cost Variance)はコストの健全性を測定する指標で、EVからACを引くこと(\(CV=EV-AC\))で計算されます。CVが正の値であれば、実際にかかったコストが予定よりも少なく、コスト削減に成功していることを示します。逆に、負の値であれば、コストが予定を超過していることを意味します。
以上がEVMの主要な要素です。これらを活用することで、プロジェクトの進捗とコストの状態を効率的に管理し、適切な判断を下すことが可能になります。EVMは特に、複雑なプロジェクトにおいて、進捗を定量的に示し、計画と実績の差異を明確にするための強力なツールです。
おわりに
本日は『EVM(Earned Value Management)』について知見を深めました!
これでまた、一歩成長しました!これからも焦らず、1つずつ頑張っていきましょう!
やはり、知識をつけることは大切じゃからのぉ。知識があれば大抵のことはできる。逆に知識がなければ、できるもんもできない。これが世の理じゃよ。
今日のSeeYouソングは「Hey! Say! JUMP – DEAR MY LOVER 」です。これは「王様に捧ぐ薬指」という神ドラマの主題歌です。見た人も見ていない人も、恋が人間に大きな力を与えてくれるんだなって思える曲です。では、どうぞっ!