はじめに
ITの勉強において、やっぱり全範囲を網羅的に勉強しようと思ってもなかなか、先輩・上司に追いつき追い抜くことって時間がかかるものです。そのせいでモチベーション下がったり……
だったら、1つのことに1点集中して『これに関しては同レベルor自分の方が上だ!』と思える領域を少しずつ作っていきましょう!それを続けていけば、どんどんどんどん勝てる領域が多くなり、気づいたら自分が行きたい未来に辿りつきます!
じゃあ今日は、「レインボー攻撃」について教えてください。全然イメージできなくてショックを受けました。みんなはこれを説明できる??
なので、今日はこれを教えてください!
了解じゃ!一言で言うと
『レインボー攻撃とはハッシュ関数の一方向性を利用し、あらかじめ作成したハッシュ値とパスワードの対応表を使ってパスワードを割り出す手法』じゃ!では、ネスペ合格レベルを目指す方は以下で詳しく見ていくぞ!
基本知識
レインボー攻撃は、攻撃者がパスワードのハッシュ値を解析し、元のパスワードを推測する攻撃手法です。通常、システムはパスワードを平文(生のテキスト)のまま保存せず、ハッシュ化(暗号的な変換)した値を保存します。このハッシュ化は、データを一方向に変換する手法で、元のデータ(パスワード)から直接元に戻すことができないように設計されています。この特性を「一方向性」と呼びます。
しかし、レインボー攻撃は、一方向性の限界を利用します。直接的な「逆算」が難しいため、攻撃者はあらかじめ様々なパスワードとそのハッシュ値を対応させた「レインボーテーブル」を準備します。この対応表を使用して、盗み取ったハッシュ値と一致するパスワードを特定することができるのです。
ハッシュ関数とは..
ハッシュ関数は、任意の長さの入力(パスワード)を固定長の出力(ハッシュ値)に変換します。この変換には一方向性があり、ハッシュ値から元の入力データを復元するのは困難です。代表的なハッシュ関数には、SHA-256やMD5があります。
理論上、ハッシュ値の逆算はとても困難。だからいっそのこと、計算するんじゃなくて対応表(=レインボーテーブル)を作っちゃおうよってことですね⁉
そういうことじゃ!
レインボーテーブルの作成手順
では、レインボーテーブルの作成手順を見ていくぞ!
1.パスワードのリストを準備:
よく使われるパスワードや推測しやすいパスワード(「password123」など)をリストアップします。
パスワードはほぼ無限に作れる。それをすべて準備するのは現実的ではない。なので、「よく使われるパスワード」にしっかりとフォーカスした方が成功確率は上がるよねっという考え方です。
2. それらのパスワードをハッシュ化:
各パスワードに対して、対象のハッシュ関数を適用し、ハッシュ値を計算します。
3. 対応表を保存:
各パスワードとそれに対応するハッシュ値をまとめた対応表、つまり「レインボーテーブル」を作成します。
4. 実際の攻撃
攻撃者がデータベースから盗み出したハッシュ値を入手すると、レインボーテーブルを使用して、そのハッシュ値に一致するパスワードを対応表から特定します。準備に時間がかかるものの、一度テーブルが作成されると、後は照合だけで済むため、攻撃は非常に迅速に進行します。
レインボー攻撃が成立する仕組み
ハッシュ値は、一方向性があるため通常は逆算ができません。このため、ハッシュ値が漏洩しても元のパスワードを推測するのは難しいとされています。しかし、レインボー攻撃はこの一方向性の特性を間接的に突破します。
- 一方向性とは: 入力データ(パスワード)からハッシュ値を生成するのは容易ですが、ハッシュ値から入力データを逆算するのは困難です。計算による逆算は不可能であり、すべての入力パターンを試すしかないため、総当たり攻撃(Brute Force Attack)は非常に時間がかかります。
- ハッシュの衝突: ハッシュ関数は固定長の出力を生成するため、理論上異なるデータが同じハッシュ値を持つ「衝突」が発生する可能性がありますが、これもレインボー攻撃で悪用されることがあります。
レインボー攻撃では、一方向性を利用しつつ、総当たりの代わりにあらかじめ大量のパスワードとそのハッシュ値をリストにしておくことで、効率的にパスワードを推測します。特によく使われるパスワードや簡単なパスワードをリスト化することで、攻撃者は効果的にパスワードを割り出すことができます。
レインボー攻撃の弱点
レインボー攻撃ってヤバっ!って思いました。どうやって対策いたらいいんですか?
では、ここから弱点を見ていくぞ!
レインボーテーブルは、あくまで「事前に準備されたパスワードとそのハッシュ値の対応表」に基づく攻撃です。そのため、以下のようなケースでは、攻撃がうまくいかないことがあります。
- 複雑なパスワード: テーブルには一般的なパスワードが含まれているため、十分に長くてランダムなパスワードはレインボーテーブルに載っていない可能性が高く、推測が難しくなります。
- ハッシュ関数の更新: レインボーテーブルは特定のハッシュ関数に依存しているため、新しいハッシュ関数が導入されると、既存のレインボーテーブルは無効になります。
レインボー攻撃の対策
では、次に対策方法を見ていくぞ!
対策 1: ソルトの使用
ソルトとは、パスワードに付加されるランダムなデータです。システムはパスワードをハッシュ化する前に、このソルトをパスワードに加えてハッシュ化します。ソルトは、同じパスワードでも異なるハッシュ値になるようにするための工夫です。
ソルトの具体例:
例えばパスワードが「password123」なら、これに「wcdi1」というソルト(ランダム値)を付けて「password123wcdi1」というようにしてからハッシュ化します。これにより、パスワードが一般的でなくなります。そのため、レインボーテーブルが役に立たなくなります。
レインボーテーブルは「よく使われるパスワード」にフォーカスしている。そのため、ソルトを付加された時点で、それは一般的なパスワードでなくなる可能性が高くなるので準備したレインボーテーブルの対象外となるのじゃ!
対策 2: ストレッチング
ストレッチングは、パスワードのハッシュ化を繰り返し行う技術です。例えば、1,000回以上ハッシュを適用することで、ハッシュ計算に時間がかかるようにします。これにより、総当たり攻撃やレインボーテーブル攻撃を行うコストが飛躍的に増大します。
- bcryptやPBKDF2の利用: bcryptやPBKDF2などのハッシュ関数は、ストレッチングを組み込んだアルゴリズムであり、レインボー攻撃に強いとされています。
パスワード認証の全体像
では、さいごに認証プロセスの全体像と、それに合わせたレインボー攻撃の立ち位置をまとめてください!
よし、では行くぞ!
パスワードを使ったユーザー認証の基本的なプロセスは次の通りです:
- ユーザーがパスワードを入力: ユーザーはログイン画面に自分のパスワードを入力します。
- パスワードの送信: パスワードは通常、TLSなどの暗号化プロトコルを使用して、セキュアにサーバーへ送信されます。
- サーバーでのハッシュ化: サーバー側では、ユーザーが入力したパスワードにそのユーザーに対応するソルトを加え、ハッシュ化します。たとえば、
hash(パスワード + ソルト)
という計算を行います。 - ハッシュ値の照合: その後、サーバーはその計算で得られたハッシュ値をデータベースに保存されているハッシュ値と照合します。もし、一致すればパスワードが正しいと判断され、認証が成功します。
このように、ユーザーがパスワードを送信しても、サーバー側では常にハッシュ値を計算し、そのハッシュ値を確認するという流れです。
なるほど。レインボー攻撃というのは、この手順4の「データベースに保存されているハッシュ値」を盗んで、それに対応する値をレインボーテーブルから導くって攻撃手法ってことですね!
そういうことじゃ!でも、ソルトを使うことでそのテーブルが無に帰すということになるのじゃよ!
まとめ
要するに…
レインボー攻撃とは、盗み出したハッシュ値を元にパスワードを推測するための攻撃手法です。通常、パスワードはハッシュ関数によってハッシュ値に変換され、元のパスワードを直接データベースに保存せずに済むようにしてあります。このハッシュ化のプロセスは一方向性を持ち、元のパスワードをハッシュ値から逆算することが極めて困難です。しかし、レインボー攻撃では事前に大量のパスワードをリストアップし、それらのパスワードに対応するハッシュ値を計算してリスト化しておきます。このリストを「レインボーテーブル」と呼びます。攻撃者はこのレインボーテーブルを使い、盗み出したハッシュ値と照合することで、対応するパスワードを導き出すことができるようになります。
レインボー攻撃の強みは、事前に準備されたレインボーテーブルを使用すれば、ハッシュ値を取得した後は迅速にパスワードを見つけ出すことができる点です。ハッシュ値そのものの逆算が困難であるという特徴を逆手に取り、逆算せずにあらかじめ対応表を作成しておくことで、この困難を回避しようとしています。ただし、この方法にも限界があります。なぜなら、レインボーテーブルは膨大なパスワードの組み合わせを網羅することが現実的には困難であるため、攻撃者は「よく使われるパスワード」や「単純なパスワード」に焦点を当ててテーブルを作成することが多いからです。
そのため、レインボー攻撃への対策として有効なのが、「ソルト」と「ストレッチング」です。ソルトは、パスワードにランダムな値を付加してからハッシュ化することで、同じパスワードであっても異なるハッシュ値を生成するための手法です。これにより、たとえ攻撃者がよく使われるパスワードに対するレインボーテーブルを作成していたとしても、ソルトが付加されていれば、全く異なるハッシュ値が生成されるため、そのテーブルが役に立たなくなります。ソルト自体は秘密にする必要はなく、むしろ攻撃を無効化するために公開されていても問題はありません。ソルトがあることで、同じパスワードでも異なるハッシュ値が生成され、レインボーテーブルの適用範囲を効果的に狭めることができます。
さらに、「ストレッチング」と呼ばれる技術もレインボー攻撃に対する有効な対策です。ストレッチングは、ハッシュ化のプロセスを何度も繰り返すことで、パスワードのハッシュ化に時間と計算資源を多く消費させる手法です。具体的には、パスワードが入力される際に、ハッシュ関数を一回だけ適用するのではなく、何千回も繰り返してハッシュ化を行い、その結果を保存します。これにより、攻撃者がパスワードを総当たりで試すことが非常に困難になり、レインボーテーブルを用いた攻撃でも計算コストが飛躍的に増大します。ストレッチングに用いられる代表的なアルゴリズムとしては、bcryptやPBKDF2などがあり、これらは特に計算量やメモリ使用量を増加させるように設計されています。
総じて、レインボー攻撃は、よく使われるパスワードを事前にリスト化して効率よくハッシュ値からパスワードを割り出す攻撃手法ですが、ソルトやストレッチングといった技術的な対策により、攻撃の成功率は大幅に低下します。特に、パスワードを複雑でランダムにすること、そしてこれらの対策を組み合わせることが、攻撃からシステムを守る有効な手段となります。
おわりに
本日は『レインボー攻撃』について知見を深まりました!
やはり、知識をつけることは大切じゃからのぉ。知識があれば大抵のことはできる。逆に知識がなければ、できるもんもできない。これが世の理じゃよ。
でも、焦らず、1つずつ・1っ歩ずつ進んでいくことが大切じゃ!これからも一緒に頑張っていこう!
今日のSeeYouソングは「The Vamps – Somebody To You ft. Demi Lovato」のspeed up版です。普通版と合わせて聴くといいアクセントになります。では、どうぞ!