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金利が上がれば株価は下がる。インフレ率が上がれば、ゴールドも上がる。
このように、投資をするには資産クラスの相関関係を知っておく必要があります。そして、それを知らないと分散投資したはずなのに、全部が共倒れする。なんてこともあります。ここでは、それを防ぐために、ノーベル賞を受賞した経済学者、ハリーマーコウィッツ氏の現代ポートフォリオ理論をベースとした知識を提供していきます。
現代ポートフォリオ理論を学ぶことで、ポートフォリオを明確にでき適切な分散投資が可能になるだけでなく、経済評論家やFPなどの言葉に騙されなくなります。
しっかりと自分の考え・信念をもって豊かな生活を自分の手で築づいていきましょう!
p.s.このサイトは「学びはじめでも分かる!」をモットーにしているため易しい単語で解説されています。
そもそも失敗する分散投資とは
分散投資は投資家の基本です。しかし、愚直な分散投資が正しいポートフォリオとは限りません。
例えば、S&P500ファンドとアメリカ大型株のみのポートフォリオは危険です。なぜなら、この2つは同じ状況で同じ動きをする(正の相関)資産だからです。多少のリスク分散はできますが、すべての資産が同時に下落する恐れがあります。
それを防ぐには株式と債券のように同じ状況でも反対の動きをする(負の相関)資産クラスを組み合わせることが大切なのです。
以下では、間違ったポートフォリオを組まないために、覚えておくべき資産クラスの相関関係について基礎的な関係を解説します。
正の相関
正の相関を組み合わせるメリットにはリターンの最大化や要因の予測・分析が容易になることが挙げられます。逆にデメリットはリスクの増大・大きな損失などがあります。では、これらを意識しながら具体的にどのようなものが正の相関になるか見ていきましょう!
株式と不動産
一般的に、経済が好調→企業の利益が増加→雇用が増加→所得が上昇します。このような状況では、株式市場も活況を呈し、株式価格が上昇する傾向があります。同時に、経済が好調→需要が高まる→人々の購買力が増加→不動産市場も活発化し、不動産の需要や価格が上昇する可能性が高まります。
逆に、経済が低迷して不況に陥る場合、株式市場は低迷し株価が下落します。同時に、不景気の時には不動産市場も影響を受け、需要や価格が低下する傾向があります。
したがって、経済の好況や不況といった一般的な経済動向に関連して、株式と不動産の価格や収益は正の相関関係にあります。
金とインフレ率
インフレ率が上昇すると、金の需要が高まる傾向がある。
インフレ率とは、一般物価水準の上昇率を示します。つまり、同じ商品やサービスを購入する際に必要なお金の価値が下がっていることを意味します。一方、金は一般にインフレに対する保険と見なされます。なぜなら、金は固定された数量が存在するため、需要と供給の変動によって価格が変動します。したがって、インフレが進行すると、通貨の価値が下がる一方で、金の価値が上昇する傾向があります。
一般的には、インフレ率が上昇する→金の需要が増加する傾向があります。なぜなら、人々はインフレに対する保険として金を購入し、資産を保護しようとするからです。そのため、金の価格はインフレ率と正の相関関係にあると言われています。
ただし、金の価格は他の要因にも影響されるため、インフレ率だけでなく、市場の動向や経済情勢を総合的に考慮することが重要です。
エネルギー株と原油価格
エネルギー株価格は原油価格と強く相関しており、原油価格の変動に影響を受ける。
エネルギー株とは、エネルギー関連企業の株式を指します。これには、石油・ガス採掘会社、精製企業、エネルギー関連のサービス企業などが含まれます。一方、原油価格は、世界的な需要と供給のバランス、地政学的リスク、天候、通貨の変動などによって決定される、国際的な原油の価格を示します。
エネルギー株と原油価格は密接に関連しています。なぜなら、エネルギー企業の主要な収益源の1つが原油やその他のエネルギー資源の生産、精製、販売であるためです。したがって、原油価格の変動は、エネルギー企業の収益や株価に影響を与えます。
一般的には、原油価格が上昇する→エネルギー企業の収益が増加→エネルギー株の価格上昇する傾向があります。これは、高い原油価格がエネルギー企業の利益を増加させ、投資家の期待を高めるためです。
逆に、原油価格が下落する→エネルギー企業の収益が減少→エネルギー株の価格下落する可能性があります。これは、低い原油価格がエネルギー企業の収益を圧迫し、投資家の信頼を低下させるためです。
負の相関
負の相関を組み合わせるメリットにはリスクの分散や変動への対応が挙げられます。逆にデメリットはリターンの低下や要因の予測・分析が困難になることなどが挙げられます。では、これらを意識しながら具体的にどのようなものが負の相関になるか見ていきましょう。
日本株式と米国株式
日本株式は日本円で取引されるため、円の価値が上がると日本の株式市場に影響を与えます。円高→日本の製品が海外で高くなる→日本企業の海外での収益が減少→株価下落しやすくなります。
一方米国は、ドル高→米国の製品が海外で安くなる→米国企業の海外での収益が増加→株価上昇となります。
通貨の価値が高まるという共通点がありつつも、米国と日本でなぜこのような結果になるのか?2国の特徴から解説します。
日本の特徴
- 日本の製造業は高度な技術と高品質な製品で知られていますが、一方で生産コストが高く、競争力に制約があるとされています。
- 日本の製造業は、労働力や原材料のコストが高く、生産効率が低いという課題を抱えています。
- また、競争が激しい国際市場での競争力を維持することも課題です。
- そのため、円高→日本の製品が海外で高く→需要減少→企業の収益が減少する可能性が高くなります。
米国の特徴
- アメリカは多様な産業構造や高度な技術力、効率的な生産方法など、競争力を維持する要素があります。
- そのため、ドル高になってもアメリカの製品が海外で競争力を持ち、需要を獲得しやすいとされています。(iphoneなどのIT製品やディズニー、ハリウッドなどのエンタメetc)
- 結果として、日本の経済が円高になると収益が減少しやすい一方で、アメリカの経済はドル高→競争力を維持→収益を向上させやすい
株式と国債金利
国債金利とは政府が発行する債券の利回りを指し、通常は国の信用力や金融政策に基づいて決定されます。株式と国債金利の関係は、一般的には反対の方向にあります。つまり、国債金利が上昇する→株式市場の需要低下→株価下落する傾向があります。これは、高い金利が投資家に安全でリスクの少ない収益を提供するため、株式市場への需要が抑制されるためです。(投資よりも預金で充分ってなる。)
逆に、国債金利が下落する→株式市場の需要増加→株価上昇する傾向があります。低い金利環境では、投資家は株式市場でより高いリターンを求める傾向があります。
ただし、この関係は常に一定ではありません。市場状況や経済の見通しによって異なる場合があります。また、一時的な要因や市場の変動によっても影響を受ける可能性があります。
大型企業株式と小型企業株式
大型企業株式と小型企業株式は、それぞれ異なる特性やリスクを持つため、市場の状況や経済の動向によって異なる影響を受けます。一般的には、経済が好調な場合→大型企業が安定した収益を上げる一方で、経済が低迷する→小型企業が成長を達成しやすくなります。
大型企業は国内外で多岐にわたる事業を展開しており、経済のサイクル変動に対する感受性が比較的低い傾向があります。一方、小型企業は主に国内市場に依存しており、経済の景気変動に直接影響を受けやすいと言われています。経済が好調なときには大型企業株式が安定して収益を上げる一方で、経済が低迷すると小型企業株式が成長を達成しやすくなります。
以上から大型企業株式と小型企業株式には負の相関があると言えます。
商品と株式
商品と株式の相関は、時期や状況によって変化することがありますが、一般的には負の相関になることが多いです。それは以下の様な流れのパターンに起因します。
- 商品価格の上昇→インフレ圧力を高める→インフレが高まる→中央銀行は金利引き上げ→株式の割安感が低下→株価下落
- 商品価格の上昇→企業の原材料費やエネルギー費を高める→企業のコストが上昇→利益率低下→株価下落
- 商品価格の上昇→消費者の購買力低下→消費者の支出減少→企業の売上・収益が減少→株価下落
おわりに
今回は現代ポートフォリオ理論の相関について触れてきました。知識をつけて1歩1歩着実に賢い投資家になって、豊かな生活を送れるように頑張りましょう!