はじめに
ITの勉強において、やっぱり全範囲を網羅的に勉強しようと思ってもなかなか、先輩・上司に追いつき追い抜くことって時間がかかるものです。そのせいでモチベーション下がったり……
だったら、1つのことに1点集中して『これに関しては同レベルor僕の方が上だ!』と思える領域を少しずつ作っていきましょう!それを続けていけば、どんどんどんどん勝てる領域が多くなり、気づいたら自分が行きたい場所に登り詰めるでしょう!
ということで今回はリピータについて知見を深めていきましょう!
リピータの基本知識
リピータは、物理層で動作する中継機器です。物理層ではデータは電気信号として送受信されますが、この信号は距離が長くなると徐々に弱くなり、最終的には受信できなくなります。これを「信号の減衰」と呼びます。リピータはこの減衰した信号を整形(つまり元の形に戻す)し、再び強い信号として送り出すことで、通信可能な距離を延ばす役割を持っています。
では、次はリピータの一種であるリピータハブを見てみましょう。
リピータハブ
リピータの一種に「リピータハブ」があります。これは、複数のポートを持ち、1つの入力ポートから受け取った信号を全ての出力ポートにそのまま送信する装置です。この点がリピータハブの欠点でもあり、どのポートに接続された機器がデータを必要としているかに関わらず、全てのポートに同じ信号を送信するため、ネットワーク上のトラフィックに無駄が発生します。この無駄なトラフィックが多くなると、コリジョン(データ衝突)が起こりやすくなり、ネットワークの性能が低下します。
リピータハブは基本的に、各ポートが双方向の通信をサポートしており、どのポートも入力と出力の役割を担います。
リピータの接続距離の制限
リピータは信号を中継することで通信距離を延ばせるものの、無制限に接続できるわけではありません。以下のルールが存在します。
10BASE-T (Ethernetの10Mbps規格)
- 5-4-3ルールという規則が適用されます。
- 最大で5つのセグメントを接続できますが、その間に使えるリピータは最大4つです。
- さらに、データが通過できるのは3つまでの混合セグメント(信号が衝突する可能性があるセグメント)で、それ以外のセグメントは、他の機器が接続されていない必要があります。
100BASE-TX (Ethernetの100Mbps規格)
- 100BASE-TXではさらに厳しい規則があり、2リピータ3セグメントルールが適用されます。
- リピータは最大2つまで接続可能で、3つのセグメントで通信可能です。
これらの制限は、LANが限定的な範囲での通信を目的としているため、非常に長い距離での通信が必要になることは少ないからです。
リピータの数が制限されたら離れた所とは通信でいないじゃん!って思うかもしれませんが、そもそもLANは限られた範囲のネットワークなので、それほど長距離が求められることはありません。
もし、長距離で接続したいなら光ファイバケーブルや専用回線、衛星通信、無線通信などを活用しましょう!
Automatic MDI/MDI-Xとは?
Automatic MDI/MDI-Xは、機器間の接続時に、クロスケーブルかストレートケーブルかを気にせずに接続できる機能です。通常、ツイストペアケーブル(LANケーブル)での接続には、クロスケーブルかストレートケーブルかを意識する必要がありますが、Automatic MDI/MDI-X機能を持つポートでは、機器が自動的に送受信ピンの役割を判断し、適切にケーブルの配線を調整してくれます。
ストレートケーブル:
異なる種類の機器同士(例:パソコンとスイッチ)の接続に使用。
クロスケーブル:
同じ種類の機器同士(例:パソコンとパソコン、スイッチとスイッチ)の接続に使用。
MDI(Medium Dependent Interface)
- 通常はパソコン、ルータなどの端末に搭載されているポートです。
- 標準的なピン配置で、送信ピンが一定の位置にあり、受信ピンも決まった位置にあります。
(具体的には、送信ピンが2番と3番、受信ピンが1番と4番に配置されており、これが「標準」の配線です。) - MDIポート同士を接続する場合には、クロスケーブルが必要になります。
MDI-X (Medium Dependent Interface Crossover)
- MDIポートと接続する場合は、ストレートケーブルを使用します。
- 主にスイッチやハブに搭載されるポートです。
- MDIに対して、送受信のピン配置が逆になっています(送信ピンと受信ピンが逆転)。
ネットワーク機器において、物理層レベルで使用されるポートはMDIかMDI-Xのどちらかです。
リピータの弱点
リピータは物理層で動作します。つまり、フレームの中身には関与しません。そのため以下の様なことが起きます。
- エラーフレーム:リピータはデータの内容を解析しないため、エラーフレームを含んだ信号はそのまま中継する。
→エラーフレーム(正常に送信できなかったことを伝える)は送信元に知らせればいいので、その他のデバイス・ポートに伝える必要はない。
- ジャム信号:コリジョンが発生した際に送信されるジャム信号も、リピータは物理層で動作しているため、内容を認識せずにそのまま中継する。
→セグメント内にだけ知らせればいいので、セグメント外のポートに送る必要はない。 - ユニキャストフレーム:リピータは宛先アドレスを確認しないため、ユニキャストフレームでも全ポートに送信される。結果として、不要なポートにも送られることになる。
- ブロードキャストフレーム:リピータは物理層の機器なので、ブロードキャストフレームかどうかを識別せず、単純に全ポートに信号を送信する。
まとめ
要するに…
リピーターはLANの範囲を拡張するための装置で、主に物理層で動作します。リピーターの役割は、信号が伝送中に減衰していくのを防ぐことです。具体的には、リピーターは受信した電気信号を整形し直し、再び強い信号として送信します。これにより、信号が長距離にわたって安定して伝送できるようになります。
リピーターの一種として「リピーターハブ」があります。リピーターハブは複数のポートを持ち、これにより複数のデバイスを接続できるため、ネットワークの拡張が容易になります。しかし、リピーターハブは受信した信号を全てのポートに送信するため、ネットワーク上に無駄なトラフィックが発生します。これがリピーターのデメリットです。
リピーターには使用制限があり、これには「10BASE-T」と「100BASE-TX」という規格が関係しています。10BASE-Tでは、最大5つのネットワークセグメントを構成でき、4台のリピーターまで使用することができます。これ以上のリピーターを追加することは保証されません。一方、100BASE-TXでは、最大3つのセグメントまで使用でき、リピーターは2台までという制限があります。これらの制限は、信号の遅延や劣化が積み重なることを防ぐためのものです。
リピーターの制限について、広い範囲をカバーできないように感じるかもしれませんが、リピーターはLAN内の限られた範囲での通信を目的としているため、長距離通信には適していません。長距離通信が必要な場合には、光ファイバケーブルや専用回線、無線通信、衛星通信などの他の手段を使用することが推奨されます。
さらに、リピーターには「Automatic MDI/MDI-X」という便利な機能があります。通常、リピーターのポートにはMDI(Media Dependent Interface)とMDI-X(Media Dependent Interface Cross)という2種類があり、これによってケーブルの種類(ストレートケーブルまたはクロスケーブル)を選択する必要があります。しかし、オートマティックMDI/MDI-X機能が搭載されているリピーターでは、ポートが自動的にMDIまたはMDI-Xの役割を判別し、ケーブルの種類を気にせずに接続できるようになります。これにより、ケーブル選びの手間が省かれます。
リピーターのデメリットの一つは、フレームの中身を解析せずに全ポートに信号を送信する点です。例えば、エラーフレームはエラーが発生したセグメント内のデバイスにだけ通知すれば良いですが、リピーターは全ポートに送信します。これにより、ネットワーク全体に不要なトラフィックが増え、効率が低下します。また、ジャム信号も同様で、衝突が発生したセグメント内のデバイスに通知すれば十分ですが、リピーターは全ポートに送信し、ネットワーク全体に影響を及ぼします。ユニキャストフレームも同様に、リピーターは全ポートに送信し、ネットワークの効率に影響を与えることがあります。
このように、リピーターはシンプルな機器であり、信号の再生を行いますが、フレームの解析やトラフィックの最適化を行わないため、ネットワーク全体に無駄な負荷をかける可能性があります。これに対処するため、現在ではスイッチやルーターといったより高度な機器が使われるようになっています。スイッチやルーターはデータリンク層やネットワーク層で動作し、より効率的なデータ転送とネットワーク管理を提供します。
おわりに
本日は『リピータ』について知見を深めました!
これでまた、一歩成長しました!これからも焦らず、1つずつこれからも頑張っていきましょう!では、さらばじゃっ!また会おうぞ!