はじめに
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【9秒チャレンジ】
STP(スパニングツリープロトコル)は、ネットワークのループを防ぐ仕組みです。ブリッジID(優先度とMACアドレスの最小値)をもとに、基準となるルートブリッジを選び、各ポートを役割(ルートポート、指定ポート、ブロッキングポート)に分けてループしないように通信経路を制御します。
では、練習問題を通して実感していきましょう!
問題文
あるネットワークでは、以下の図のように4台のスイッチ(SW1~SW4)が接続されている。このネットワークではループが発生しないように、STP(スパニングツリープロトコル)を用いて経路を制御している。
各スイッチのBridge IDは以下のとおりである(Bridge IDはスイッチのプライオリティ値とMACアドレスで構成される)。
スイッチ | プライオリティ値 | MACアドレス | Bridge ID |
---|---|---|---|
SW1 | 32768 | 00:11:22:33:44:55 | 32768-00:11:22:33:44:55 |
SW2 | 32768 | 00:11:22:33:44:56 | 32768-00:11:22:33:44:56 |
SW3 | 32768 | 00:11:22:33:44:57 | 32768-00:11:22:33:44:57 |
SW4 | 32768 | 00:11:22:33:44:58 | 32768-00:11:22:33:44:58 |
また、各スイッチ間のポートは以下のコストで接続されている。
接続元 | 接続先 | コスト |
---|---|---|
SW1 | SW2 | 4 |
SW1 | SW3 | 8 |
SW2 | SW3 | 4 |
SW2 | SW4 | 8 |
SW3 | SW4 | 4 |
設問1
STPにおいて、ルートブリッジを選出するために各スイッチのBridge IDを比較する。ルートブリッジとして選出されるスイッチを答えなさい。
設問2
ルートブリッジ選出後、各スイッチでルートポートを選出する。SW2およびSW4におけるルートポートを答えなさい。
設問3
各ポートの役割(ルートポート、指定ポート、ブロッキングポート)を決定する。SW3のポート役割をすべて答えなさい。
解答
設問1
ルートブリッジとして選出されるスイッチを答えなさい。
解答
SW1
解説
ルートブリッジは、STPにおいてネットワーク全体の基準となるスイッチで、Bridge IDが最も小さいスイッチが選ばれます。
Bridge IDは「プライオリティ値」と「MACアドレス」で構成され、プライオリティ値が同じ場合はMACアドレスを比較して決定します。
各スイッチのBridge IDは以下のとおり:
- SW1:
32768-00:11:22:33:44:55
- SW2:
32768-00:11:22:33:44:56
- SW3:
32768-00:11:22:33:44:57
- SW4:
32768-00:11:22:33:44:58
プライオリティ値は全て32768で同じため、MACアドレスを比較します。最も小さいMACアドレスを持つSW1がルートブリッジに選ばれます。
設問2
問題
SW2およびSW4におけるルートポートを答えなさい。
解答
- SW2のルートポート: SW2のポート(SW1と接続しているポート)
- SW4のルートポート: SW4のポート(SW3と接続しているポート)
解説
ルートポートは、各スイッチがルートブリッジに到達するための最短コスト経路を持つポートです。
- SW2のルートポート選出
SW2はSW1に直接接続されています。この接続のコストは4で、これは最小コストです。したがって、SW2のルートポートはSW1と接続しているポートになります。 - SW4のルートポート選出
SW4がSW1に到達する経路は2通りあります:- SW4 → SW2 → SW1(コスト: 8 + 4 = 12)SW4 → SW3 → SW1(コスト: 4 + 8 = 12)
設問3
問題
SW3のポート役割をすべて答えなさい。
解答
- SW3のポート(SW1と接続): ルートポート
- SW3のポート(SW2と接続): 指定ポート
- SW3のポート(SW4と接続): 指定ポート
解説
ポート役割の決定ルール
- ルートポート(Root Port)
各スイッチがルートブリッジに到達する最短コスト経路を持つポート。 - 指定ポート(Designated Port)
各セグメント内で、コストが最小であるポート。指定ポートはそのセグメントでのデータ転送を担当します。 - ブロッキングポート(Blocking Port)
ループを防ぐためにブロックされるポート。
SW3の役割決定
- ルートポート
SW3がSW1に到達するための最短経路は、直接接続されているSW1とのポート(コスト8)。よって、このポートがルートポート。 - 指定ポート
SW3 → SW2(コスト4)、SW3 → SW4(コスト4)いずれも指定ポートとなります。理由は、各セグメントでSW3が最も小さいBridge IDを持つため。 - ブロッキングポート
SW3ではブロッキングポートはありません(全て役割が与えられます)。
まとめ
各設問の解答を簡潔にまとめると以下のようになります:
- ルートブリッジ: SW1
- ルートポート:
- SW2 → SW1のポート
- SW4 → SW3のポート
- SW3のポート役割:
- SW1とのポート: ルートポート
- SW2とのポート: 指定ポート
- SW4とのポート: 指定ポート