
セグメント、リンク、サブネット、ネットワーク、LANって結局なに?
1. セグメント
→ 同じ物理ネットワーク内で直接通信できる範囲。
具体的には、スイッチやハブで接続された機器のグループのことです。L2レベルのつながりなので、MACアドレス を使って通信します。
- 機器同士がブロードキャストをやり取りできる範囲。
- スイッチ や ハブ でつながっている機器たちは同じセグメント。
- ルータを超えたら別のセグメント になる。
🔸 イメージ: 部屋の中のPCがみんなスイッチでつながってる状態
2. リンク
→ 2つの機器が直接通信できる物理的・論理的な接続。
リンクは基本的に「線(ケーブル)」みたいなものと考えてOKです!ただし、無線もリンクに含まれます。リンクがあれば、お互いにデータを送受信できます。
- 1本のLANケーブル、無線接続、光ファイバーなどがリンク。
- ポイントツーポイント接続(例: ルータ同士をつなぐケーブル)もリンク。
🔸 イメージ: 2台のPCをLANケーブルで直結した状態
3. サブネット
→ IPアドレスの範囲で区切った論理的なネットワークのまとまり。
IPアドレスとサブネットマスクで区切られたグループのことです。L3(ネットワーク層)での区分なので、IPアドレス を使って通信します。
- 同じサブネット内の機器同士は、ルータなしで直接通信 できる。
- サブネットマスクで「この範囲は同じネットワーク」と決まる。
🔸 例: 192.168.1.0/24 のサブネット
→ IPアドレス: 192.168.1.1 ~ 192.168.1.254 のホストはルータ不要で通信可能。
4. ネットワーク
→ サブネットを含む、より広い通信のまとまり。
ネットワークは広義な概念で、物理的なつながり(LANケーブル、スイッチ)も含めるし、IPアドレスの範囲(サブネット)も含みます。
- ネットワークアドレス(例: 192.168.1.0/24)で表される。
- 複数のサブネットがルータでつながって1つの大きなネットワーク を作ることもある。
🔸 イメージ: オフィス全体のネットワーク(部門ごとにサブネットがある)
5. LAN(Local Area Network)
→ 限られた範囲内(会社、家、学校)で構成されるネットワーク。
物理的な範囲で定義されていて、スイッチやルータを使って構築されます。LANは1つのサブネットだけとは限らず、複数のサブネット をルータでつなぐこともあります。
- 1つの建物やフロア内のネットワーク が典型的なLAN。
- LAN同士をつないで広範囲なネットワークを作ると WAN(Wide Area Network)になる。
🔸 イメージ: 自宅のWi-Fiネットワーク(スマホやPCがつながる)
ざっくりまとめると!
LAN → 家やオフィスなど、狭い範囲のネットワーク。
リンク → 2台の機器をつなぐ線(ケーブル・無線)。
セグメント → スイッチやハブでつながった範囲(ブロードキャスト届く範囲)。
サブネット → IPアドレスの範囲で区切られた論理ネットワーク。
ネットワーク → サブネットやセグメントを含む広いまとまり。

セグメントとサブネットの違いって何?
セグメントは、ブロードキャストが届く範囲って定義できる。でも、サブネットはどういう範囲なのかイメージが湧きません。
セグメントとサブネットのイメージ
セグメントとサブネットは似てるけど、視点がちょっと違うんです。
- セグメント → 物理的な区切り(L2レベル、ブロードキャストの範囲)
- サブネット → 論理的な区切り(L3レベル、IPアドレスの範囲)
この違いを具体例とセットでわかりやすく説明しますね!
例えばこんなネットワークを考えます:
[PC1] — [スイッチ] — [PC2]
│
[PC3]
- スイッチでつながっている機器たちは、同じ物理ネットワーク内にいます。
- ルータはないので、すべての機器はブロードキャストを受け取ります。
セグメントとは?
セグメントは物理的な区切りで、ブロードキャストが届く範囲のことです。
この例だと:
- PC1, PC2, PC3 はすべて同じセグメント。
- ブロードキャスト(例えばARPリクエスト)はスイッチを通じて全員に届く。
サブネットとは?
サブネットは、IPアドレスの範囲で区切る論理的なグループです。サブネットごとに通信のルールが変わります。
例えば、このネットワークで次のようなIPアドレスを設定したとします:
- PC1 → 192.168.1.10/24
- PC2 → 192.168.1.20/24
- PC3 → 192.168.2.10/24
この場合:
- PC1とPC2 は 同じサブネット(192.168.1.0/24)なので直接通信できる。
- PC3 は 別のサブネット(192.168.2.0/24)なので、直接通信できず、ルータが必要になる。
セグメントとサブネットの違い
項目 | セグメント | サブネット |
---|---|---|
区切りの基準 | 物理的な接続機器(スイッチ・ハブ) | IPアドレスとサブネットマスク |
階層 | データリンク層(L2) | ネットワーク層(L3) |
通信単位 | MACアドレス を使う | IPアドレス を使う |
ブロードキャスト | セグメント内のすべての機器に届く | サブネット内のすべての機器に届く |
ルータの必要性 | セグメント内はルータ不要 | サブネットが異なるとルータ必須 |
セグメントとサブネットがズレるケース
たとえば、スイッチ1台でつながっている機器たちを、2つのサブネットに分けることもできます:
- PC1 → 192.168.1.10/24
- PC2 → 192.168.2.20/24
この場合:
- セグメントは同じ → ブロードキャストはお互いに届く。
- サブネットは異なる → ルータがないとIP通信できない。
つまり、物理的にはつながっていても、IPアドレスの設定次第で論理的に通信できなくなるんです。(ブロードキャストは届いてはいるけど、IPレベルで無視・破棄される)
→まぁそもそもL2スイッチ上に異なるサブネットを配置するケースは少ないです。もし、それをやるなら、VLAN(L2スイッチ上でも異なるサブネットとして扱える)を使えばいいじゃんという話になります。
なぜサブネットで区切るの?
サブネット分割には大きなメリットがあります!
- ブロードキャストの抑制
- サブネットごとにブロードキャストが止まるので、無駄なトラフィック を減らせる。
- セキュリティの強化
- サブネットごとにアクセス制御をかけて、部門間の通信を制限できる。
- アドレス空間の整理
- サブネットごとにアドレス範囲を割り当て、IP管理をしやすくできる。
超ざっくりまとめ!
- セグメント → 物理的な接続範囲(ブロードキャストが届く範囲)
- サブネット → IPアドレスで区切る論理的な範囲(異なるサブネット間はルータが必要)
両者は重なることもあるけど、必ずしも一致するわけではありません。実際のネットワーク設計では、これを使い分けてトラフィックを最適化しているんです!

セグメントとサブネットの大小関係は?
なんか、イメージとしては、セグメントはデータリンク層で、サブネットはインターネット層だから、サブネットの方が大きいイメージを持っていました。しかし、実際は、セグメントの方が大きくなり得るってことですね?だって、物理的につながっているものがセグメントで、それを異なるネットワークとして、分割したものがサブネットだから…
整理すると…
整理するとこうなります:
- セグメント → 物理的なつながり(L2・データリンク層)。スイッチやハブでつながる範囲。
- サブネット → IPアドレスで論理的に区切った範囲(L3・インターネット層)。
なので、セグメントのほうが大きくなることもあるし、逆にサブネットのほうが大きくなることもあるんです!少し詳しく整理しますね!
パターン1: セグメント ⊃ サブネット(セグメントが広いケース)
スイッチでたくさんの機器がつながっていて、1つのスイッチ内で複数のサブネットを作る場合です。
例えば:
PC1 → 192.168.1.10/24
PC2 → 192.168.2.20/24
- 物理的には同じスイッチにつながってるので、同じセグメント。
- でもIPアドレスのサブネットが違うので、ルータがないと通信できない。
🔸 イメージ: 1つの部屋にいるけど、部屋の中でグループ分けしてる感じ
パターン2: セグメント ⊂ サブネット(サブネットが広いケース)
逆に、1つのサブネット(例: 192.168.1.0/24)が、複数のセグメントに分かれてることもあります。これはVLANを使うとよく出てきます。
例えば:
- セグメントA(VLAN10):192.168.1.10 ~ 1.50
- セグメントB(VLAN20):192.168.1.51 ~ 1.100
この場合:
- IPアドレス的には同じサブネットにいる。
- でもVLANでセグメントが分かれているので、ルータが必要。
🔸 イメージ: 同じ町に住んでるけど、違うマンションに住んでて直接会えない感じ
ざっくりまとめ!
- セグメント → 物理的な接続範囲(スイッチ、ハブ)。L2(データリンク層)。
- サブネット → IPアドレスで区切った範囲。L3(ネットワーク層)。
- セグメントのほうが広い場合 → 同じスイッチ内で複数のサブネット。
- サブネットのほうが広い場合 → VLANでセグメントを分けて同じサブネット。
この理解があると、VRRP や VLAN、ルーティング の話もグッとわかりやすくなります!

LANって何?
LAN というのは、基本的に 物理的・論理的に近くて、ルータで外部とつながる範囲 のことを指します。
LANのイメージ
LAN (Local Area Network) → 狭い範囲のネットワーク。たとえばオフィスや家のネットワーク。
- 1つのサブネットだけのLAN もある。
- 複数のサブネットをルータやL3スイッチでつないでるLAN もある。
どちらもLANと呼びます!
シンプルなLAN(1つのサブネット)
[PC1]───┐
[PC2]───┼──[スイッチ]──[ルータ]──(インターネット)
[PC3]───┘
- IPアドレス: 192.168.1.0/24
- 1つのサブネット → PC同士は直接通信可能。
- ルータでインターネットとつながる。
🔸 この場合、LAN = サブネット です!
少し複雑なLAN(複数サブネット)
[PC1] ──┐ ┌──[PC2]
│ │
[VLAN10] [VLAN20]
│ │
[L3スイッチ]──[ルータ]──(インターネット)
- VLAN10 → 192.168.1.0/24
- VLAN20 → 192.168.2.0/24
ルータやL3スイッチを使えば、複数のサブネットを1つのLANとして扱える んです!
🔸 この場合、LAN = VLAN10 + VLAN20(複数サブネットの集合体)。
ざっくりまとめ!
- LAN → 同じ建物やフロアなど、物理的に近いネットワークのまとまり。
- LAN内の構成
- 1つのサブネットだけの場合もある。
- 複数のサブネットをルータやL3スイッチでつなぐ場合もある。
なので、LANは「サブネットを1つ以上含む大きな器」みたいなイメージが近いですね!

L3スイッチとルータの違いは?
L3スイッチ と ルータ は似た役割をする部分もあるけど、違う点もあります。イメージとしては:
- L3スイッチ → LAN内の複数のサブネットをつなぐ(高速・内部通信向け)
- ルータ → 外部ネットワークとつなぐ(インターネットや他のLANとの通信)
図解っぽく表すとこんな感じ!
[PC1]──[VLAN10]──┐
│
[L3スイッチ]──[ルータ]──(インターネット)
│
[PC2]──[VLAN20]──┘
じゃあ、それぞれの役割を細かく解説しますね!
ルータの役割
ネットワーク間のデータを中継する機器。L3(ネットワーク層)で動作します。
- IPアドレスベースで通信 → 宛先IPアドレスを見てルーティングテーブルから最適な経路を選択。
- 外部ネットワークと接続 → 例えばLANとインターネットをつなぐ。
- ブロードキャストを遮断 → サブネットを区切ってトラフィックを抑制。
🔸 イメージ: 郵便局。宛先住所(IPアドレス)を見て、外部ネットワークに送り出す。
L3スイッチの役割
スイッチの機能 + ルーティング機能 を持つ機器。
- LAN内の異なるサブネットをつなぐ → VLAN間の通信ができる。
- 高速なルーティング → 専用ハードウェアでパケットを高速処理。
- IPとMACの両方を見る → IPでルーティングしつつ、MACで転送先を決める。
🔸 イメージ: 社内の部署間メッセンジャー。同じ建物内ならサクッと部署間の連絡を仲介してくれる。
ルータとL3スイッチの違いまとめ
項目 | ルータ | L3スイッチ |
---|---|---|
主な用途 | 外部ネットワークとの接続 | LAN内のサブネット間通信 |
動作層 | L3(ネットワーク層) | L3 + L2(ネットワーク層 + データリンク層) |
通信方式 | IPアドレス でルーティング | IPルーティング + MACアドレス転送 |
パフォーマンス | 比較的遅い(ソフトウェア処理) | 高速(ハードウェア処理) |
コスト | 安い(基本的なものなら) | 高い |
主な設置場所 | LANの出口(インターネット接続用) | LAN内部(VLAN間ルーティング用) |
ざっくりまとめ!
- L3スイッチ → LAN内の異なるサブネットをつなぐ。速いけど基本はLAN内専用。
- ルータ → 外部ネットワークとつなぐ。遅めだけどWAN・インターネットに必要。

L3スイッチを宛先に指定されることはあるの?
L2スイッチの場合、経由するとはいえ、宛先にL2スイッチのMACアドレスが指定されることはありません。L2スイッチはただのハブとして機能するだけなので宛先MACとしてL2が指定されることはありません。では、L3スイッチならどうなのでしょうか?
結論から言うと:
- L2スイッチ → 自分自身のMACアドレスを宛先とするパケットは存在しない。
ただの中継役。 - L3スイッチ → ルーティングするときは、自分のMACアドレスが宛先になることがある。これはルータ的な動作をするときの挙動です!
つまり、L3スイッチは状況によってスイッチとルータの両方の顔を持つ感じなんです。もう少し掘り下げますね!
L2スイッチの場合
L2スイッチはデータリンク層(L2) で動作していて、MACアドレスだけ を見て動きます。
たとえば:
PC1 (MAC: AA:AA:AA) → PC2 (MAC: BB:BB:BB)
フレームの中身は:
- 宛先MAC: BB:BB:BB(PC2のMAC)
- 送信元MAC: AA:AA:AA(PC1のMAC)
ここで、スイッチは:
- 自分のMACアドレスを宛先にすることはない。
- ただ、フレームの宛先MACを学習して、適切なポートに転送するだけ。
🔸 イメージ: 郵便ポスト。宛先住所を見て、自分は開封せずに仕分けるだけ。
L3スイッチの場合
L3スイッチは、ルーティングするときだけルータっぽく動く ので、場合によっては自分のMACアドレスが宛先になることがあります。
例えば、PC1 と PC2 が異なるサブネットにいる場合:
PC1 (192.168.1.10/24) → PC2 (192.168.2.20/24)
このとき、L3スイッチでVLAN 10 と VLAN 20 を使ってるとします。すると、通信の流れはこうなります。
PC1 からの送信フレーム:
- 宛先IP: 192.168.2.20(PC2のIP)
- 宛先MAC: L3スイッチのインターフェースMAC(PC1のデフォルトゲートウェイ)
PC1は、自分のネットワーク外と通信するとき、デフォルトゲートウェイ(=L3スイッチのIP/MAC)宛にフレームを送ります。
L3スイッチの動作:
- 自分宛のMACアドレスを受け取る(ここがルータっぽい!)
- 宛先IPを見てルーティング(192.168.2.0/24 への経路を確認)
- PC2宛のフレームを作り直す(宛先MACをPC2のMACに書き換え、VLAN 20 に転送)
ルータと同じ動きになる理由
これはまさにルータの動きと同じですね!ルータは、IPパケットを自分のMACアドレスで受け取って、次のホップに向けて再送します。
L3スイッチも、ルーティング機能が有効な場合は、ルータと同じ動きになるんです。
ざっくりまとめ!
- L2スイッチ → 自分宛のMACアドレスは受け取らない。単なる中継役。
- L3スイッチ → ルーティングするときは自分宛のMACアドレスを受け取る。デフォルトゲートウェイとして動作する。
- L3スイッチはスイッチとルータのハイブリッド → 同じセグメント内ではスイッチ、異なるサブネット間ではルータ。

L3スイッチがあればL2スイッチは不要ですか?
結論:L3スイッチだけでも動くけど、L2スイッチと併用することが多い
L3スイッチは、L2スイッチ機能 + ルーティング機能 を持ってるので、小~中規模ネットワークならL3スイッチ1台で完結できる 場合もあります。
でも、規模や設計によってはL2スイッチも必要になることが多いんです。具体的に理由を見ていきましょう!
理由①:ポート数の制約
L3スイッチは高性能だけど、ポート数が少なかったり、ポート単価が高いことがあります。
- L3スイッチ → 例えば 24ポート で高価。
- L2スイッチ → 48ポートの安価なモデルも多い。
🔸 現実的な設計例:
- 各フロアに 安価なL2スイッチ を配置。
- フロアごとにL2スイッチを集約して、上位の L3スイッチでルーティング。
理由②:ネットワーク階層設計(3層モデル)
大規模ネットワークでは、次の3層構成が基本になります。
- アクセス層 → L2スイッチ:エンドデバイスを接続。
- ディストリビューション層 → L3スイッチ:VLAN間ルーティング、トラフィック制御。
- コア層 → 超高速なL3スイッチ/ルータ:ネットワーク全体のバックボーン。
🔸 なぜこうするの?
- L2スイッチは安くてたくさん接続できる。
- L3スイッチはルーティング処理に専念できるので、ネットワーク全体が安定・高速化。
理由③:シンプルなスイッチング処理
L3スイッチはルーティング機能を持つけど、すべての通信にL3スイッチを通すと無駄な処理が増えます。
例えば、同じサブネット内のPC同士の通信は:
- L2スイッチならフレーム転送だけ(超高速)。
- L3スイッチだと不要なIPヘッダチェックが発生(若干のオーバーヘッド)。
🔸 最適な構成:
- 同じサブネット内の通信 → L2スイッチで完結。
- 異なるサブネット間の通信 → L3スイッチがルーティング。
L3スイッチ単体で済むケースもある
ただし、例えば 小規模オフィスやホームネットワーク なら、1台のL3スイッチだけで十分 なこともあります。
- 少数のサブネット(VLAN)だけ → L3スイッチ1台で各PCを接続&ルーティング。
- シンプルなトポロジ → ポート数が足りればL2スイッチ不要。
🔸 例: 小規模オフィス(10人以下)
- VLAN10:192.168.1.0/24(PC・プリンタ)
- VLAN20:192.168.2.0/24(Wi-Fi、IP電話)
- VLAN30:192.168.3.0/24(サーバ群)
これなら、1台のL3スイッチでVLAN間ルーティングしつつ、直接端末を接続すればOK!
ざっくりまとめ!
- L3スイッチだけでネットワークを構築できる場合もある(小規模・シンプル構成)。
- でも、L2スイッチと併用する方がコスト・効率的なことが多い(大規模・階層設計)。
- 最適解はネットワーク規模や要件による!
なので、L3スイッチがあるからといってL2スイッチが完全不要というわけではなく、役割分担して共存させた方が安定することが多いんです。

L3スイッチがあればルータは不必要ですか?
すごく鋭い質問です!実は、ある程度の規模のネットワークならL3スイッチだけでも運用できる場合があります。ただし、L3スイッチではカバーできない部分があるので、ルーターが必要なケースも多いんです!この違いをしっかり理解すると、ネットワーク設計の理解が一気に深まりますよ!
順番に解説していきます!
L3スイッチだけで運用できるケース
例えば、社内ネットワークやデータセンター内のような、同じLAN内のサブネット間通信だけが必要な場合は、L3スイッチだけで十分です。
- 同一拠点内の複数サブネットのルーティング → L3スイッチでOK
- 高速なレイヤ3転送が必要 → L3スイッチのハードウェア転送が圧倒的に高速
なので、「外部ネットワークに出ない閉じたネットワーク」なら、ルーターを使わずL3スイッチだけで完結させられます!
でもL3スイッチだけではダメなケース
- WANやインターネット接続が必要な場合
→ L3スイッチは外部ネットワークとの接続機能(PPPoEやNATなど)が弱いので、ルーターが必須です。例えば、インターネットに出るには、グローバルIPへの変換(NAT)が必要ですが、これを効率的に処理するのはルーターの役割です。 - 高度なセキュリティ機能が必要な場合
→ ルーターにはファイアウォール機能やVPN機能が搭載されています。外部からの攻撃対策や、安全なリモートアクセスのために、セキュリティ機能の豊富なルーターを使うのが一般的です。 - 異なる拠点間をつなぐ場合
→ 拠点Aと拠点Bを専用線やインターネットVPNで接続するようなケースでは、ルーター同士でトンネルを張る必要があります。L3スイッチにはこういった広域ネットワーク用の機能はほぼありません。 - 高度なルーティングプロトコルを使う場合
→ 大規模なネットワークでは、OSPFやBGPといったダイナミックルーティングを使います。最近のL3スイッチでも対応しているものはありますが、ルーターの方が高機能かつ安定しています。
具体的な設計例
[PC] ─ [L2SW] ─ [L3SW] ─ [Router] ─ [Internet]
- L2スイッチ → 同一サブネットの端末間通信
- L3スイッチ → 社内のサブネット間ルーティング
- ルーター → 外部ネットワークとの接続・NAT・ファイアウォール
この組み合わせで設計すると、内部は高速&外部接続はセキュアといういいとこ取りができます!
結論
- LAN内のサブネット間ルーティング → L3スイッチで高速処理
- LAN外やWAN、インターネット接続 → ルーターで外部接続とセキュリティ強化
なので、「LAN内だけならL3スイッチだけでOK」ですが、インターネット接続や外部拠点との接続にはルーターが必須という感じです!