ループバックインタフェース

ループバックインタフェースってなに?
ループバックインタフェース(Loopback Interface)は、仮想的なインタフェースで、物理ポート(イーサネットやシリアル)とは異なり、
✅ ソフトウェア上でのみ存在する仮想インタフェース
✅ ルータやスイッチの管理用IPアドレスとしてよく使用される
📝 特徴とポイント
1️⃣ 常にUP状態を維持する
- ループバックインタフェースは、物理的なインタフェースとは異なり、インタフェース自体が常にUPの状態を維持する。
- 物理インタフェースがダウンしても、ループバックは生きているので管理やBGPネイバー関係に影響を与えない。

つまり、理論上はすべての物理インタフェースがダウンしてもループバックインタフェースはUP状態であるということです。
✅ 例:
interface Loopback0
ip address 192.168.1.1 255.255.255.255
Loopback0
は常に稼働しているため、BGPネイバーのIPとして使用されても安定性が確保される。
2️⃣ BGPネイバー関係での使用
- ループバックアドレスは、BGP(Border Gateway Protocol)でネイバー関係を確立する際によく使用される。
- 物理インタフェース同士でネイバー関係を張る場合、インタフェースがダウンするとBGPセッションもダウンしてしまう。
- ループバックを使用すれば、冗長経路(マルチパス)が確保され、安定したネイバー接続が可能。

物理インタフェースだと、ダウンするたびにセッションが切れちゃう。でも、ループバックインタフェースは常にUPだから半永久的にセッションの持続が可能だよってことです!
✅ BGP設定例:
router bgp 65001
neighbor 192.168.1.1 remote-as 65002
neighbor 192.168.1.1 update-source Loopback0
update-source Loopback0
で、BGPネイバー関係にループバックインタフェースを使用することを明示。
3️⃣ ルーティングプロトコルでの活用
- OSPF(Open Shortest Path First) や EIGRP でも、ループバックインタフェースをルータIDとして利用することで安定性を確保できる。
- OSPFのルータIDはデフォルトでループバックインタフェースのIPアドレスを自動選択する。
✅ OSPFルータID設定例:
router ospf 1
router-id 192.168.1.1
- ルータIDがループバックアドレスで固定されることで、OSPFのネイバー関係も安定する。
💡 ループバックインタフェースの主なメリット
✅ ① 安定性の向上
- 物理リンクの状態に依存せず、常にUP状態を維持できる。
✅ ② BGPセッションの冗長性
- マルチホップでBGPネイバー関係を確立し、障害発生時でもセッション維持が可能。
✅ ③ ルータIDや管理IPとして利用
- OSPF/EIGRPのルータIDやSNMP管理アドレスなどにも使用される。
🎉 まとめ
👉 ループバックインタフェース = 「仮想インタフェースで常にUP」
👉 BGPやOSPFの安定性向上に必須
👉 物理インタフェースの障害に強く、管理性も向上する!

え?物理インタフェースがダウンしてもループバックインタフェースは使えるの?
まず前提として、ループバックインタフェースは物理インタフェースの状態に依存しないということです。
🎯 まず基本的な確認:
- ループバックインタフェースは、仮想インタフェースなので、
👉 物理インタフェースの状態に左右されず、常にUP状態を維持します。
👉 たとえルータの物理インタフェースがすべてダウンしても、ループバックインタフェース自体はダウンしません。
❗️ でも、ループバックインタフェースが生きていても通信はできない場合がある
ここが重要なポイントです。
- ループバックインタフェース自体はUPでも、物理インタフェースがすべてダウンしてしまうと、そのループバックアドレスへ到達する手段がなくなるんです。
- 例えば:
- ループバックインタフェース
192.168.1.1/32
が設定されていても、物理インタフェース(例えばGigabitEthernet0/0
)がダウンすると、そのルートは消える。 - OSPFやBGPのルート情報が失われると、ループバックアドレスに向かうトラフィックが到達できなくなる。
- ループバックインタフェース
🎯 じゃあ、なんでループバックが有利なの?
ここで大事なのは、ループバック自体はダウンしないので、
👉 複数の物理インタフェースで冗長経路(マルチパス)を張っていれば、どれか一つが生きていれば通信は続くという点です。
✅ 具体的なケース:
- BGPでループバックを使用する場合、ネイバー関係は物理インタフェースではなく、ループバック同士で確立される。
- 物理インタフェースが1つダウンしても、他の物理インタフェース経由でループバックへの到達が可能なら、BGPセッションは維持される。
- OSPFなどでループバックインタフェースを/32ホストルートとして広報すれば、複数経路でループバックアドレスに到達できる。
🔥 物理インタフェースがすべてダウンした場合
- ループバックインタフェース自体はUPだが、ルーティングができない状態になる。
- 物理リンクがすべてダウンすると、ループバックへのルートが消えるので、結果的には到達不能になる。
📝 まとめ
- ✅ ループバックインタフェースは常にUPである。
- ✅ 物理インタフェースがダウンしても、ループバック自体はUPだが、通信はできなくなる可能性がある。
- ✅ 複数の物理経路で冗長性を確保している場合は、ループバックアドレスを使ったBGPセッションやOSPFルータIDの安定性が向上する。
💡 重要ポイント:
👉 ループバックインタフェースがUPでも、物理インタフェースがすべてダウンした場合は到達不可能になる点には注意が必要です。
👉 ただし、複数の物理経路がある場合には、ループバックアドレスが経由するパスが自動的に切り替わり、BGPセッションやOSPFの安定性が確保されます。

BGPにおける『マルチホップ』って何?
BGPのマルチホップ(multi-hop)は、BGPネイバー関係を物理的に直接接続されていないルータ間で確立する技術のことです。
通常、BGPのデフォルト動作では、
- BGPネイバー関係は直接接続されたインタフェース間(ホップ数1)で確立される。
- つまり、デフォルトではBGPは1ホップ先(直接接続)でしかネイバーを張れない。
しかし、マルチホップ(multi-hop)を設定することで、
👉 複数ホップ離れたルータ同士でもBGPネイバー関係を確立できるようになります。
📡 ✅ マルチホップの動作イメージ
❌ 通常のBGP(ホップ数1の場合)
R1 ---- R2
- R1とR2が直接接続されている場合、BGPは問題なくネイバー関係を確立できる。
- しかし、R1とR3が直接接続されていない場合、通常のBGPではネイバー関係は確立できない。
✅ BGPマルチホップの例
R1 ---- R2 ---- R3
- R1とR3が直接接続されていない場合でも、
- マルチホップ(multi-hop)を使うと、R1からR3へ複数ホップを経由してBGPネイバー関係を確立できる。
✅ R1のBGP設定例:
router bgp 65001
neighbor 192.168.3.1 remote-as 65003
neighbor 192.168.3.1 ebgp-multihop 3
ebgp-multihop 3
を指定することで、R1からR3まで3ホップ以内でネイバー関係を確立することができる。
📝 ✅ マルチホップが必要な場面
1️⃣ ループバックインタフェースを使用したBGPネイバー関係
- BGPでは、ループバックインタフェースをネイバーアドレスとして使用することが多い。
- ループバック同士のBGPネイバー関係では、直接接続ではなく複数ホップを経由する必要があるため、マルチホップが必須。
✅ 例:
router bgp 65001
neighbor 192.168.1.1 remote-as 65002
neighbor 192.168.1.1 update-source Loopback0
neighbor 192.168.1.1 ebgp-multihop 2
update-source Loopback0
でループバックアドレスを使用するため、物理インタフェース間ではなく、複数ホップ経由で通信する必要がある。ebgp-multihop 2
で、2ホップ以内でBGPセッションが張れるようになる。
2️⃣ 異なるAS間での冗長BGPセッション
- 異なるAS(Autonomous System)間で、ダイレクトリンクではなく、複数ルータを経由してBGPネイバー関係を確立する場合。
3️⃣ BGPピアがファイアウォール越しに存在する場合
- BGPネイバーがファイアウォールや中継ルータを経由する場合、
- 直接接続ではないためマルチホップが必要。
💡 ✅ マルチホップの重要性
✅ ① ループバック経由のBGPセッション確立
✅ ② 物理的に直接接続されていないルータ間でのBGPネイバー確立
✅ ③ 冗長化されたBGPセッションの維持と安定化
⚠️ 注意点
ebgp-multihop
の値は、BGPセッションを確立するまでの最大ホップ数を指定する。- ホップ数が大きすぎると、不要なトラフィックがBGPネイバーに到達してしまうリスクがあるので、必要最低限に抑えるべき。
🎉 まとめ
👉 マルチホップとは、直接接続されていないルータ間でBGPネイバー関係を確立する技術。
👉 ループバック同士のBGPセッションや、複数ホップ先のネイバー関係では必須。
👉 ebgp-multihop コマンドで、ホップ数を調整して安定したBGPセッションを確保する。

ループバック間に中継ルータがない(ホップ1)でもマルチホップ設定は必要なの?
1️⃣ BGPの直接接続ルールを思い出そう
まず、BGPには直接接続が前提というルールがありましたね。
- BGPは、直接接続されたネイバーとのみセッションを確立する
- つまり、BGPは「ルーティングテーブル上でネクストホップが直接接続されているか?」をチェックします。
✅ 直接接続のケース:
- 物理インターフェース同士でBGPネイバー関係を確立する場合
- 直接接続されているので
ebgp-multihop
は不要。
2️⃣ ループバック同士は「直接接続」とは見なされない!
さて、ここがポイントです。
👉 ループバックインターフェース同士のBGPセッションは、たとえ同じルーター間でも「直接接続」とは見なされない。
✅ ループバック同士のBGP接続の場合:
- ループバックはあくまで「仮想インターフェース」
- ループバック同士は直接接続された物理インターフェース同士とは異なる扱いになる。
- BGPは「物理的に直接接続されていない」と判断して、マルチホップが必要になる。
3️⃣ ループバック同士でマルチホップが必要な理由
👉 なぜ直接接続じゃないと判断されるのか?
- ループバックアドレスは、ルーティングテーブル上で到達可能なルートとして見えるだけ
- 直接接続されていないから、「1ホップでもマルチホップ扱いになる」
✅ 具体例:
R1 (1.1.1.1/32) ---- R2 (2.2.2.2/32)
- R1のループバック → R2のループバックでBGPセッションを確立する場合
- たとえ物理的にR1とR2が直接接続されていても…
- ループバック同士は「直接接続」ではないと判断される!
- この場合でも
ebgp-multihop 2
が必要になる。
✅ BGP的には:
- ループバックアドレスは、直接接続されたインターフェースのIPとは別扱い。
- ループバック同士の通信はルーティングテーブルで解決される間接的な通信と判断される。
4️⃣ ループバック同士の通信は「ルーティング」を経由している
👉 ループバック同士の通信の流れ:
- R1のループバック → R1のルーティングテーブルで転送 → 物理インターフェースを経由 → 相手のループバック
✅ だからマルチホップが必要になる:
- たとえ「1ホップ」の距離でも、BGP的には間接接続と判断されるので、
ebgp-multihop 2
などのマルチホップ許可が必要になる。
5️⃣ じゃあ「1ホップでもマルチホップ設定が必要」なの?
✅ 結論:YES、必要です。
- ループバック同士のBGPセッションは、「1ホップ」であっても
ebgp-multihop
の設定が必要。 - ループバック経由のBGPセッションは直接接続と見なされないので、
- マルチホップの設定が必要になる。
💡 ✅ なぜ「1ホップでもマルチホップが必要」なのか?
👉 ループバック同士の通信は、たとえ直接のルーター間でも「間接的なルート経由」としてBGPが判断するから。
👉 「直接接続」ではないから、BGP的には1ホップでもマルチホップ設定が必須になる。
✅ ループバック同士のBGPネイバーは、常に ebgp-multihop
が必要
✅ ホップ数が1であっても、BGPは「直接接続じゃない」と見なすからマルチホップが必須になる。
🎉 ✅ まとめ
✅ ループバックインターフェース同士のBGPセッションは、物理インターフェース同士の直接接続と違う。
✅ ループバック経由の場合、BGPは「間接接続」と判断するため、1ホップであっても ebgp-multihop
が必要になる。
✅ ループバックを使う場合は、必ず ebgp-multihop
を設定するのが基本ルール!
👉 「直接接続ではない」と見なすBGPの仕様がカギですね! 🚀