はじめに
今回はIT分野における基本の「き」というくらい大切なOSI基本参照モデルについてやっていきます。そしてその中でも、第2層にフォーカスを当てていきます。
【ここで扱う用語】
- データリンク層(フレーム&MACアドレス&隣接ノード)
- MACアドレス(一意の識別子&48ビット&16進数)
- フレーム(ヘッダー&ペイロード&トレーラー&ネットワークのセグメント分割)
- L2スイッチ(LANセグメンテーション&コストかかる&自己学習&トラフィック分散)
- ブリッジ(異なるセグメントの架け橋&フィルタリング)
勉強の始めは、色々とごちゃごちゃしますが最後の7層までやると全体像を掴めて、理解力が深まります。1回でマスターするのではなく、繰り返しでマスターしようというメンタリティーで行きましょう!
データリンク層
データリンク層は、コンピューターネットワークのOSI基本参照モデルにおける第2層で、物理的な接続を通じてデータの転送を管理します。
- データリンク層は、隣接ネットワークノード間でデータを転送します。これにより、コンピューター同士がデータをやり取りすることが可能になります。
*ノード:ネットワーク上でデータを送受信する機器や端末のことを指します。コンピューター、サーバー、スイッチ、ルーター、プリンターなど、ネットワーク上で機能するあらゆるデバイスがノードと呼ばれます。
- データリンク層では、データがフレームと呼ばれる固定長の単位で送受信されます(フレームベースの通信)。
- データリンク層では、各ネットワークインターフェースカード(NIC)にはMACアドレスが割り当てられ、データの送受信に使用されます。
- データリンク層では、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)というアクセス制御方式が使用されます。しかし、同時に複数のノードがデータを送信しようとすると、衝突が発生する可能性があります。
【データリンク層のまとめ】
データリンク層は、ネットワーク上でのデータの送受信を可能にする重要な層です。MACアドレスを使用してネットワークデバイスを識別し、フレームベースの通信を行います。しかし、複数のデバイスが同時にデータを送信しようとすると、衝突が発生する可能性があるため、適切な衝突検出と再送制御が重要です。
MACアドレス
MACアドレスは、NICに割り当てられた一意の識別子で、コンピューターネットワークで重要な役割を果たします。
*NIC(ネットワークインタフェースカード)の解説はこちら↓
- MACアドレスは、世界中のすべてのネットワークデバイスに対して一意の識別子です。ネットワーク上でデバイス同士を区別するために使用されます。
- MACアドレスは通常、48ビットの長さを持ちます。16進数表記で表され、通常は6つの2桁の数字または文字列で表されます。
- MACアドレスは、データリンク層で使用され、データを送信元と宛先のネットワークインターフェースカード(NIC)に配信するために使用されます。これにより、正確なデータの配信が可能になります。
- 一部のMACアドレスは、デバイスのハードウェアに固有の識別子として固定されています。一方で、一部のデバイスでは、管理者が手動でMACアドレスを変更することも可能です。
- MACアドレスは通常、デバイスのハードウェアに固有の識別子であるため、デバイスがネットワーク上で移動する場合に問題が発生することがあります(機器の移動に対応しづらい)。特に、大規模なネットワーク環境では、MACアドレスの管理が複雑になる可能性があります。
【MACアドレスのメリット】
- MACアドレスは世界中のすべてのネットワークデバイスに対して一意の識別子です。
→このため、ネットワーク上でデバイスを一意に識別し、正確なデータの送受信を行うことができます。 - MACアドレスは、ネットワーク上でのデバイスの識別に使用されるため、MACアドレスのフィルタリングやMACアドレスに基づくアクセス制御を実装することができます(ネットワークセキュリティ)。
→これにより、不正なデバイスや未承認のデバイスがネットワークに接続することを防ぐことができます。 - MACアドレスを使用することで、ネットワーク管理者はネットワーク上のデバイスの追跡や管理を容易に行うことができます。
→特定のデバイスの動作や接続状態を把握し、必要に応じて制御することが可能です。 - MACアドレスは、新しいデバイスをネットワークに追加する際に、デバイスを正確に識別するのに役立ちます。これにより、新しいデバイスの追加や交換がスムーズに行えます(簡単なネットワーク構築)。
【MACアドレスのまとめ】
MACアドレスは、ネットワーク上でデバイスを一意に識別し、データの正確な配信を可能にする重要な要素です。物理的な接続を持つすべてのデバイスにはMACアドレスが割り当てられており、ネットワーク通信の基盤として不可欠です。
フレーム
- フレームは、コンピューターネットワークでデータを送受信するための基本的な単位です。
- フレームは、データリンク層で使用される固定長のデータのまとまりです。通常、ヘッダーとペイロードから構成されており、データの送受信に必要な情報が含まれています。
*ヘッダー:通信の送信元や宛先、通信の種類やエラーチェックのための情報などが含まれます
*ペイロード:ペイロードには、通信における実際のデータが含まれます。例えば、テキストメッセージ、画像ファイル、音声データなどがペイロードとして含まれます。
- フレームには、ヘッダーとトレーラーが含まれています。ヘッダーには、送信元と宛先のMACアドレスや、フレームのタイプなどの制御情報が含まれています。トレーラーには、エラーチェックなどの誤り検出に関する情報が含まれています。
*トレーラー:データの誤り検出のためのチェックサムやCRC(Cyclic Redundancy Check)などの情報が含まれ、末尾を表す
- ネットワークデバイスは、フレームを使用してデータを送信し、受信側のデバイスはフレームを解析してデータを取り出します。
- フレームのサイズは通常固定されており、特定のネットワーク技術やプロトコルによって定義されます。これにより、ネットワーク上でのデータの送受信が効率的に行われます。
- フレームには、ヘッダーやトレーラーなどの制御情報が含まれているため、実際のデータに比べてオーバーヘッドが発生します。これにより、ネットワーク上でのデータ転送の効率が低下する可能性があります。
【フレームのメリット】
- フレームには、トレーラーによる誤り検出機能が含まれています。受信側は、トレーラーに含まれるチェックサムやCRCを使用して、受信したデータの整合性を確認し、データの正確性を保証します。
- フレームを使用することで、ネットワークを複数のセグメントに分割することが可能になります。これにより、ネットワークのトラフィックが適切に分散され、ネットワークの効率が向上します。
(フレームには宛先や送信元を表現できるヘッダーがあるから実現できる) - ネットワークセキュリティの向上:
- フレームは、送信元と宛先の情報を含むため、ネットワーク上でのセキュリティを向上させるのに役立ちます。MACアドレスを使用したアクセス制御や、フレームに含まれる制御情報を使用したセキュリティ機能の実装が可能です。
【フレームのまとめ】
フレームは、コンピューターネットワークでデータを効率的に送受信するための重要な要素です。ヘッダーには制御情報が含まれており、データの送信元と宛先を識別し、データの正確な配信を可能にします。
L2スイッチ
スイッチとは、行き先を振り分けてくれる機器を表します。そのうえで、L2スイッチ(スイッチングハブ)とはレイヤ2の情報(MACアドレス)を使って、振り分ける機器を指します。
- L2スイッチは、データリンク層(第2層)で動作し、フレーム単位でデータ転送します。
- L2スイッチは、MACアドレスを使用してデータの送信先を特定し、フレームを対応するポートに転送します。
- L2スイッチは、LANを複数のセグメントに分割することで、トラフィックを分散し、ネットワークのパフォーマンスを向上させます(LANセグメンテーション)。
- L2スイッチは、MACアドレスとポートの対応関係を学習し、フレームの転送に利用します。初期状態では、スイッチはMACアドレスとポートの対応関係を学習するため、ネットワーク上のトラフィックパターンに応じて自己学習を行います。
- L2スイッチはルーターよりも低コストですが、大規模なネットワーク環境では複数のスイッチが必要になるため、コストがかかる場合があります。
【L2スイッチのメリット】
- L2スイッチを使用することで、ネットワークを複数のセグメントに分割することができます。各セグメントは独立した衝突ドメインを持ち、トラフィックの分散と管理が容易になります。
- L2スイッチはフルデュプレックス通信をサポートし、同時に送信と受信を行うことができます。これにより、通信の帯域幅が最大限に活用され、通信速度が向上します。
ブリッジ
- ブリッジは、データリンク層(第2層)で動作し、フレーム単位でデータを転送します。送信元と宛先のMACアドレスを使用して、フレームを適切なポートに転送します。
- ブリッジは、不正なトラフィックを検出してブロックすることで、ネットワークのセキュリティを強化します。MACアドレスに基づくアクセス制御を実装し、ネットワーク上のセキュリティを向上させます。
- ブリッジは、初期状態ではMACアドレスとポートの対応関係を学習するため、ネットワーク上の通信パターンに応じて自己学習を行います。
- ブリッジは、フレームの転送に時間がかかるため、通信の遅延が増加する可能性があります。特に、ネットワーク上のトラフィックが過剰になると、遅延が顕著になる場合があります。
【ブリッジのメリット】
- ブリッジは、異なるセグメントのネットワークを接続するために使用されます。セグメント間の通信を制御し、トラフィックの効率的な管理を実現します。
- ブリッジは、MACアドレスを使用してフレームの送信元と宛先を参照し、不要なトラフィックをブロックすることができます(フィルタリング)。これにより、ネットワークの帯域幅が最適化され、通信の効率が向上します
おまけ:L2スイッチとブリッジの違い
L2スイッチとブリッジは、両者ともデータリンク層で動作するネットワークデバイスであり、フレームの転送やネットワークのセグメント化に使用されますが、いくつかの重要な違いがあります。
- ポート数とスケーラビリティ:
- L2スイッチ: 通常、複数のポートを持ち、それぞれのポートは異なるデバイスに接続されます。L2スイッチは、複数のポート間で同時に通信を行うことができ、ネットワークのスケーラビリティが高いです。
- ブリッジ: 通常、2つのポートを持ち、それぞれが異なるネットワークセグメントを接続します。ブリッジは、主に2つのセグメント間で通信を制御し、トラフィックを分割するために使用されます。
- 用途:
- L2スイッチ: 主にローカルエリアネットワーク(LAN)内で使用され、ネットワーク内のデバイス間の通信を効率的に処理します。スイッチングハブとも呼ばれます。
- ブリッジ: 2つの異なるネットワークセグメント間の通信を制御し、ブロードキャストドメインを分割するために使用されます。主に古いネットワーク環境で使用されます。
簡潔に言えば、L2スイッチは多くのポートを持ち、ネットワーク内で通信を効率的に制御するために使用されます。一方、ブリッジは通常2つのポートを持ち、2つの異なるネットワークセグメント間の通信を制御するために使用されます。
おわりに
今回は、OSI基本参照モデルの第2層にまつわる、データリンク層、MACアドレス、フレーム、L2スイッチ、ブリッジの計5つを勉強してきました。ごちゃごちゃと複雑ですが、繰り返しいていくことで覚えられるようになります。1回で覚えようとせず、ゆっくりやっていきましょう!そして継続していけば応用情報技術者試験も受かります。
これが今回言いたかったことです。書くことがなくなったのでここで今日は終わります。さらばじゃ!
【この記事も一緒に読まれています】