はじめに
「セッション鍵は共通鍵と公開鍵の長所を両取りした鍵方式」ってよく聞くけど、具体的なイメージが湧かない…..って人は多いと思います。
でも、今回でしっかりイメージできるようになります!共通鍵と公開鍵の特徴も合わせつつしっかりと要点を抑えつつパパっとStudyしていきましょう!
セッション鍵の基本知識
セッション鍵とは、一時的に使用される共通鍵(対称鍵)であり、ネットワーク上で安全かつ効率的にデータをやり取りするための鍵方式です。この鍵は、セッションの間だけ有効で、セッションが終了すると無効になります。
そもそも、セッションとは「ログイン~ログアウトorタイムアウト」までの期間を指します。それが終わると新たなセッションを確立するまでやり取りは行えません。
セッション鍵方式の手順
1.セッション鍵の生成:
- 通信を開始する際、送信者(例えばクライアント)が一時的に使用するセッション鍵(のちの共通鍵)を生成します。この鍵は、後のデータ通信に使用される共通鍵です。
2. セッション鍵の配布:
- 生成されたセッション鍵は、受信者(例えばサーバ)に安全に送信される必要があります。ここで、送信者は受信者の公開鍵を使ってセッション鍵を暗号化します。
- 暗号化されたセッション鍵は受信者に送信され、受信者は自分の秘密鍵を使ってセッション鍵を復号します。
このセッション鍵の配布方法が「公開鍵方式」を使っています。
3. データ通信:
- 両者が同じセッション鍵を共有した後、そのセッション鍵を使って、共通鍵暗号方式で実際のデータ通信が行われます。これにより、データの暗号化と復号化が高速かつ効率的に行われます。
4. セッションの終了:
- セッションが終了すると、セッション鍵は無効になり、次回の通信では新しいセッション鍵が生成されます。
このように、「公開鍵の安全性」と「共通鍵の高速性」の2つを享受できるのがセッション鍵です。
公開鍵と秘密鍵をもう少し詳しく知りたいって人はおまけコーナーをどうぞ!
メリット
- 高速性:
- セッション鍵方式では、データの暗号化と復号化に共通鍵暗号(対称鍵暗号)を使用します。共通鍵暗号は、公開鍵暗号に比べて計算量が少なく、処理が高速であるため、大量のデータを効率的に暗号化・復号化できます。
- 安全性:
- セッション鍵の配布には公開鍵暗号方式を使用するため、セッション鍵自体が第三者に盗聴されるリスクが低く、安全に鍵を共有できます。この方式は、通信を開始する際に一度だけ公開鍵暗号を使用し、その後は共通鍵暗号を使用するため、全体的な安全性が高まります。
- 柔軟性:
- セッションごとに新しい鍵が生成されるため、鍵が使い回されることがありません。これにより、もしセッション鍵が漏洩しても、影響がそのセッションに限られるため、被害が最小限に抑えられます。
- 効率的な鍵管理:
- 通常、公開鍵暗号のみでデータを暗号化するのは非効率です。セッション鍵方式では、公開鍵暗号はセッション鍵の配布にのみ使い、実際のデータ通信には高速な共通鍵暗号を使うため、効率的な鍵管理が可能です。
デメリット
- セッション鍵の管理:
- セッション鍵は一時的なものであり、通信セッションごとに新しい鍵を生成・管理する必要があります。このため、セッション鍵の生成や管理が煩雑になる可能性があります。
- セッション鍵の漏洩リスク:
- セッション鍵が共有される際に、何らかの形でセッション鍵が漏洩するリスクは完全には排除できません。特に、受信者側の秘密鍵が安全に管理されていない場合、セッション鍵が第三者に知られてしまうリスクがあります。
- 初期のオーバーヘッド:
- セッション鍵を配布する際、初期段階で公開鍵暗号を使用するため、その部分には多少の計算コストがかかります。ただし、その後の通信が高速になる点を考慮すると、このオーバーヘッドは一般的に許容範囲です。
- 複雑性:
- セッション鍵方式は、単純な共通鍵暗号方式や公開鍵暗号方式に比べて、実装が複雑になることがあります。セッション鍵の生成、配布、管理など、複数のプロセスを正確に実装する必要があるため、セキュリティの専門知識が求められます。
まとめ
要するに…
セッション鍵方式とは、公開鍵暗号方式と共通鍵暗号方式の利点を組み合わせた鍵方式です。具体的には、公開鍵暗号方式の持つ鍵を共有する際の安全性と、共通鍵暗号方式の持つ高速な処理能力を両立させるものです。
この方式の流れを説明すると、
①まずクライアントがセッション鍵を生成します。このセッション鍵は、後のデータ通信で使用される共通鍵として機能します。次に、クライアントは生成したセッション鍵をサーバー側の公開鍵を用いて暗号化し、その暗号化されたセッション鍵をサーバーに送信します。
②サーバーは受け取ったセッション鍵を、自身の秘密鍵を使って復号します。こうして、サーバー側もセッション鍵を共有することができるようになります。
③セッション鍵が共有されると、そのセッション鍵を用いて、以降のデータ通信は共通鍵暗号方式で暗号化されます。共通鍵暗号方式を使用することで、通信は高速かつ効率的に行われるようになります。
また、このセッション鍵は一時的な鍵であり、セッションが終了すると無効になるため、次回の通信では新たなセッション鍵が生成されます。この仕組みにより、セッションごとに異なる鍵が使用されるため、鍵の漏洩リスクが低減され、全体的な安全性が高まります。
このように、セッション鍵方式は、通信の安全性と効率性をバランスよく実現するために設計された鍵方式です。
おわりに
本日は終了です!お疲れさまでした!
今回でセッション鍵についてはある程度理解が深まったと思います!
これからも、少しずつ理解できる領域を少しずつ一歩一歩広げていきましょう!そして、一緒に登り詰めましょう!
では今日は、僕が最近見た「6アンダーグラウンド」という映画の挿入歌「white flag」という曲でお別れです。では、さらばじゃっ!
おまけ:
では、ここからはおまけコーナーです。メイン解説の中で感じた疑問・不安などをここでは解消していきます!
公開鍵と秘密鍵ってなに?
箇条書きとか文章で説明すると、冗長になってしまうので、表でパパっと特徴を抑えていきましょう!
項目 | 公開鍵暗号方式 (非対称鍵暗号) | 共通鍵暗号方式 (対称鍵暗号) |
---|---|---|
鍵の総数の求め方の式 | 2n | n(n-1)/2 (利用者が多くなるほど、総数が爆発的になる) |
鍵の管理が容易か困難か | 容易 (公開鍵は公開、秘密鍵は個別管理) | 困難 (全ての通信相手と鍵を共有) |
処理速度 | 低速 | 高速 |
代表的なアルゴリズム | RSA, DSA, ECC | AES, DES, 3DES, Blowfish |
安全性 | 高い(ただし、計算リソースに依存) | 鍵の管理次第(鍵が漏洩すると危険) |
ここから、分かるようにセッション鍵は両者の利点を合わせることで、欠点を最小限に抑えた鍵方式と言えるでしょう!