設問1
オ:PIM-SM カ:SSM
オ:PIM-SM
ネットワーク全体のルーター間(FW01、L3SW11、L3SW21の間)で、マルチキャストのパケットを転送するための共通の基盤・ベースとなるルーティングプロトコルがまず必要になる。これが PIM-SM 。「すべてのインタフェースで共通して有効にするベースの仕組み」と書かれていたら、それは大元である PIM-SM 。
Router(config)# interface GigabitEthernet0/1
Router(config-if)# ip pim sparse-modeカ:SSM
図2のフロー(c)(d)で確認した通り、レシーバーは (S, G) Join(ソースのIPとグループを指定した要求)を飛ばしている。この「ソースを指定したリクエスト」をルーター側で受け取って、余計なランデブーポイント(RP)を経由せずにダイレクトに配信経路(ツリー)を作る機能が SSM(Source-Specific Multicast) 。
Router(config)# ip pim ssm default設問2
(1)配信先のレシーバの数に応じてソースの通信量が増加する

ここでは、マルチキャストを使用しない場合のデメリットが聞かれている。
では、逆転の思考で、まずはマルチキャストのメリットを見ていこう!
1. ソース(送信元)の通信量・負荷を一定に抑えられる(レシーバーの数に依存しない)
・ユニキャストの場合、宛先(レシーバー)の数が増えれば増えるほど、ソースが同じデータを何度もコピーして送信しなければならず、送信側の通信量が爆発的に増える。
・マルチキャストであれば、レシーバーが何台(何万人)になろうとも、ソースが送信するデータは常に「1回分(1ストリーム)」だけで済む。
2. ネットワーク帯域(回線)の無駄な消費を防げる
・ユニキャストだと、ルーターやスイッチの手前まで同じパケットがレシーバーの台数分バラバラと流れていき、ネットワークの帯域を激しく圧迫する。
・マルチキャストであれば、ネットワーク機器(ルーターやL3SW)が途中の分岐点までパケットを1本だけ運び、必要になった地点で初めてパケットを複製して枝分かれさせる(ディストリビューションツリーを作る)ため、回線を効率的に使える。
3. 大規模な配信やリアルタイム映像に向いている
・1つの映像データ(今回のK市のIPカメラ映像など)を、複数の部署のPCや大型モニターなどの多数の宛先へ同時に配信するシステムにおいて、ネットワークのボトルネックを解消するための必須技術となる。
上記より、ユニキャストの最大の欠点は、「レシーバーが増えた分だけ、同じデータを何回も送信せざるを得ず、送信元の通信量が跳ね上がる」ことであることが分かる。
(2)160
カメラ1台80Mb/s。それが20台あるので「8Mb/s×20=160Mb/s」となる。
Q.なんで連番で命名しないの?

IPカメラの名前を見ると1の位が0と5~9が使われていない。これは本文中にもある通り、将来追加されるかもしれないカメラのためにとってある。また、本構成ではL2SWとカメラの番号が対応しているため、障害が発生した際に切り分けを早くする工夫が用いられている。L2SW91 に繋がるカメラ:11〜14L2SW92 に繋がるカメラ:21〜24L2SW93 に繋がるカメラ:31〜34

(3)すべてのIPカメラに個別のIPアドレスおよび個別のグループアドレスを使用する
この問いはIGMPv2を使用する際のアドレス設計ではどのように変わるのかを問われている。
まずIGMPv3の特徴は同一のマルチキャスト宛てでも送信元が違えばフィルタリングできるという特徴がある。一方、IGMPv2にはその機能がない。つまり、IGMPv2では送信元を識別してフィルタリングすることができないため、特定のカメラの映像だけを個別に受信するには、全てのIPカメラに個別のグループアドレスを割り当てる必要がある。
Q.逆にIGMPv3を使ったらどういうIP構成になるの?
A.1つのマルチキャストグループで運用することができる
設問3
(1)グループアドレスの設計が容易になる
IGMPv3の場合は送信元もフィルタリングできるので、IPカメラごとにマルチキャストグループアドレスを付与する必要がなく1つのグループアドレスで運用できるようになる。その結果、メリットとしてグループアドレスの設計が容易になるということ。
たまに、この「グループアドレスを1つで運用できるようになる」と回答する人がいますが、これは利点ではなく状態を書いているだけ。なので、その1つで運用できることがどのような利点になるのかを考えると回答はグループアドレスの設計が容易になると、なる。
(2)グループアドレス、インタフェース

IGMPスヌーピングではIGMP Joinを盗み見して「どのインタフェースから、どのマルチキャストグループへ参加要求が来ているか」を記録する。それによって、ソースからマルチキャストが届いたときに、当該マルチキャストアドレスに対応したポートにのみ転送すれば効率のよい転送になるというわけである。つまり、回答はインタフェースとマルチキャストグループである。
ちなみにインタフェースの代わりにポートと書きたくなるが、問題文中には「問題文中の字句を使え」と指定されているためポートではなくインタフェースにしなければならない。
設問4
(1)a設定を追加する機器名:L3SW11,L3SW21b設定を追加するインタフェースの接続先機器名:L2SW11,L2SW21cプロトコル名:IGMPv3


a設定を追加する機器名:L3SW11,L3SW21
L3SWではIGMPを受け取るインターフェースでIGMPを有効にする必要がある。
b設定を追加するインタフェースの接続先機器名:L2SW11,L2SW21
L2SW12とL2SW22が接続されているL3SWのインターフェースでは既にIGMPが有効化されているので追加設定は不要。なので、新規にIGMPを有効化するのはL2SW11とL2SW21である。
cプロトコル名:IGMPv3
本文中より、IGMPv3で運用する旨の記述があるのでIGMPv3が回答となる。
注意!
L2SWではIGMPスヌーピングを導入してIGMPメッセージを盗み見できる。勘違いしやすいのは、L2でもIGMPを有効にする必要があると勘違いしてしまうこと。。L2はあくまでもスヌーピングのみであり実際にIGMPを有効化するのはL3デバイスである!
p.8 Q. H.264とは?

H.264(別名 AVC:Advanced Video Coding)とは、動画を圧縮・符号化するための国際標準規格(ビデオコーデック)の一つ。主な特徴は以下の通り👇
- 高い圧縮効率: 画質を保ったまま、動画のデータサイズを小さく(または低いビットレートで)送信できるように圧縮できる。そのため、ネットワークの帯域を節約できる。
- 幅広い普及: 地デジ放送、Blu-rayディスク、YouTubeなどの動画配信、スマホの動画撮影やWeb会議など、私たちが日常的に目にするほぼすべての動画で標準的に使われている。
- リアルタイム処理に向く: 高い画質と圧縮率を持ちながら、エンコード(符号化)やデコード(復号)の処理が比較的軽く、リアルタイムのライブ配信や監視カメラ映像の送信にも適している。
p.8 Q.IPカメラの設置って物理的にどういう構成になっているの?


Q.PIM-SMってなに?

では、フローとともにPIM-SMの正体を明らかにしていこう!
ステップ1:レシーバー側(下流)の参加表明(IGMP & IGMPスヌーピング)
- PCの動作: レシーバー(またはPC)が「このマルチキャストグループ(例:G)の映像が欲しい!」と IGMP(Internet Group Management Protocol) の参加要求(Join/Report)を送信する。
- L2SWの動作: 直下のL2SWがそのIGMPメッセージを IGMPスヌーピング で盗み見し、「このポートの先には、グループGを欲しがっている機器がいる」と学習する。これにより、L2SWは不要なポートへマルチキャストを流さず、必要なポートだけに絞って転送できるようになる。
ステップ2:ラストホップルーターによるPIM Joinの送信
- L2SWを抜けたIGMPメッセージは、レシーバーに一番近いルーター(ラストホップルーター)に届く。
- ルーターは「おっ、自分の配下にグループGが欲しい人がいるな」と認識し、PIM-SMの仕組みを使って、ネットワークの中心である RP(ランデブーポイント) に向かって 「PIM Join(
(*, G)Join)」 というメッセージを上流へ向けて送信する。 - このJoinメッセージが経由するルーターたちを順番に通っていくことで、レシーバー側からRPに向かうまでの「配信ツリー(共有ツリー)」の経路が上に向かって構築される。
ステップ3:ランデブーポイント(RP)とは?どうやって決まるのか?
- 疑問:「このマルチキャストアドレスだったらこのランデブーポイント使ってねというのはあらかじめあるの?」
- 答え:ある! RP(Rendezvous Point)というのは、マルチキャストの世界における「待ち合わせ場所(中継役のルーター)」。 ネットワーク内の全ルーターは、「どのグループアドレス宛ての通信であれば、どのルーター(のIPアドレス)をRPとみなすか」という情報をあらかじめ知っていなければならない。 設定方法には以下の2つがある。
- 手動設定(静的): 管理者がすべてのルーターに「グループA〜CのRPはルーターXだよ」と手動で書き込んでおく。
- 自動配布(Auto-RP / BSR): 特殊なプロトコルを使って、ネットワーク内のルーター同士で自動的にRPの情報を共有する。
ステップ4:ソース側からのデータ送信と「Register(登録)」の仕組み
- 疑問:「ソースは、このマルチキャストIPあてに送るときはこのランデブーポイントに送るんだなみたいなのをやっとくの?」
- 答え:ソース側はRPの存在を意識していない。 ソース(IPカメラなど)は、自分がどこにいてRPがどこにあるかを知らなくても、単に「宛先=マルチキャストグループアドレス(G)」として普通にパケットを送信する。
- ファーストホップルーターの動作(Register): ソースから一番近いルーター(ファーストホップルーター)がそのマルチキャストパケットを受け取る。しかし、この時点ではまだ「レシーバー側からRPを通るツリー」しかできておらず、ソースからRPへのルートが確立していない。 そこで、ファーストホップルーターは、受け取ったマルチキャストパケットを 自分のIPで包み込んで(ユニキャストでカプセル化して)、RP宛てに送り届ける。 これが PIM Register(レジスター)メッセージ 。
ステップ5:RPが受け取り、正規のルート(ツリー)に切り替える
- RPがRegisterメッセージを受け取ると、中身のマルチキャストパケットを取り出し、ステップ2で作られたレシーバー側のツリーに向けて一斉に流し始める(これでレシーバーに映像が届く)。
- 同時に、RPは「ソースから直接データをくれ!」というメッセージ(
S, GJoin)をソース側に向かって送る。 - これにより、ソースとRPの間にも直接の通信経路(最短パス)ができ、カプセル化(Register)ではなく、通常のきれいなマルチキャストパケット(ネイティブ)で直接やり取りされるようになる。
要は、PIM-SMとはマルチキャストルーティイングを成立させるためのルーティングプロトコルということ。
Q.IGMPスヌーピングとは?
では例のごとくフローを見ながら大枠を理解していこう!
ステップ1:【準備段階】ルーターの場所を覚える(ルーターポートの学習)
- 上流にあるルーター(L3スイッチなど)は、配下のネットワークに向けて定期的に 「IGMPクエリー(誰かグループに参加したい人いませんか?という確認メッセージ)」 を送信する。
- L2スイッチは、そのクエリーがどのポートから届いたのかを観察する。
- 【学習内容】: L2スイッチは、「このクエリーが来たポートの向こう側にルーター(上位機器)があるんだな」と把握し、そのポートを 「ルーターポート(上りポート)」 として記憶する。
- ※これによって、将来マルチキャストデータが上から降ってきたときに、どこから受け取ればいいかがわかる。
ステップ2:【参加段階】クライアントの要望を盗み見する(メンバーポートの学習)
- パソコンやレシーバー(クライアント)が、「このマルチキャストグループ(例:カメラ11の映像)の配信が欲しい!」という IGMPレポート(参加要求) をネットワークに発信する。
- L2スイッチは、このIGMPレポートの中身(IPパケット内の宛先グループアドレス)をこっそり覗き見(スヌーピング)する。
- 【学習内容】: L2スイッチは、「ポート3に繋がっているPCが、このグループの映像を欲しがっているな」とテーブルにメモ(バインディング)する。このポートを 「メンバーポート」 と呼ぶ。
- その後、IGMPレポートはそのまま上流のルーターへ転送される。
ステップ3:【データ転送段階】必要なポートだけに絞って流す
- 実際にソース(IPカメラなど)から、そのグループ宛てのマルチキャストパケットが流れてくると、データはまず ステップ1で覚えたルーターポート からL2スイッチに飛び込んでくる。
- 通常のL2スイッチであれば、届いたデータをすべてのポートにバラ撒く(フラッディング)してしまいますが、IGMPスヌーピングが有効なスイッチは違う。
- スイッチは、届いたパケットの宛先を確認し、ステップ2でメモしたテーブル(「このグループが欲しいのはポート3だけ」)を確認する。
- 【実際の転送】:
- 欲しがっている ポート3 にだけ、ピンポイントで映像データを流す。
- 別の映像を流していないPCが繋がっているポート(ポート1や2など)には、一切データを流さない。
Q.IGMPのマルチキャストアドレスは?

| 用途・プロトコル | IPマルチキャストアドレス | 対象・役割 |
| すべてのホスト | 224.0.0.1 | 同一セグメント上のすべてのPCやレシーバー宛て |
| すべてのルーター | 224.0.0.2 | 同一セグメント上のすべてのルーター宛て(IGMPv2のLeaveなど) |
| PIMルーター用 | 224.0.0.13 | ルーター同士でPIMメッセージ(PIM Joinなど)をやり取りするため |
| IGMPv3 レポート用 | 224.0.0.22 | IGMPv3でホストからルーターへ(S, G)の参加要求を送るため |
