▼広域イーサネットの物理構成
まずは広域イーサネットの物理構成を見ていこう。ここで例に挙げるのは、令和4年度のネットワークスペシャリスト試験午後Ⅱ問Ⅰのユースケースを使いながら見ていこう!
大枠:本社からM社広域イーサネットを経由して本社が保持しているデータセンタへ通信するというシナリオである。

ここでは、本社L3SW11とM社広域イーサネットの区間(赤色の部分)の物理構成がどうなっているのかを見ていく。以下のイラストを参考にしつつやっていこう!では、出発進行!

ステップ1:本社での送信とMDFへの集約
- L3スイッチとSFP+モジュール:
本社の業務端末やVDIからのパケットは、本社のL3スイッチ(L3SW11など)で処理される。
L3スイッチのポートに挿さったSFP+モジュールによって、内部の電気信号が光信号に変換される。
*SFP/SFP+モジュール(Small Form-factor Pluggable):電気信号と光信号を相互に変換する機器。 - MDF(主配線盤)の経由:
変換された光信号は、光ファイバーパッチケーブルを通ってビルの地下などにあるMDF室に集約され、ビル内の配線から外部への引き込み口へと繋がる
*MDF(Main Distribution Frame):外部の光ファイバケーブルと内部の光ファイバケーブルの集約点。事業者ではなくビルの所有者側が準備する。光だけでなく電話線なども収容する
内部の光ファイバと外部のNTTファイルは太さが異なる。それを人間の手で溶かしたりして接続する。その接続したものを格納する箱がODFであり、それを収容しているのがMDF。
ステップ2:NTTアクセス網と局舎の通過(本社側)
- 地下管路からNTT局舎へ:
本社ビルの地下から出た光ファイバーは、道路の地下管路を通って最寄りのNTTの局舎へ到達する。
*NTT局舎:全国数千か所に渡って設置されている。ネットワークの中継ポイント - NTT局舎でのハードウェア・スルー(中身を見ない転送):
NTTの局舎(ODFやアクセス回線終端装置)では、パケットの中身(IPアドレスなど)は一切見ない。「この物理回線(またはアクセス回線)から入ってきた信号は、あらかじめ契約されたM社用のポートへそのまま流す」という固定的な設定(クロスコネクト)に従い、無条件でキャリアM社のネットワークへ受け渡される。
*ODF(Optical Distribution Frame):本社はフロアごとに複数のケーブルを持っている。その複数のケーブルを整理するための箱。ODF内の回路上をデータが通るというよりも、ただ物理的に配線をきれいに整えているだけ
ステップ3:キャリアM社網(POP)でのL2 / MPLS転送
- M社収容局(POP)への到着: キャリアM社のPOP(収容局)に届いた信号は、M社のコアネットワーク(MPLS網)に入る。
*POP(Point of Presence):NTT局舎と同じ考え方を踏襲した仕組み。M社広域イーサネットの出入口を各地に分散配置しているもの。 - MACアドレス・ラベルによる転送:
広域イーサネットは「巨大なL2ネットワーク」として振る舞う。M社側の装置は、フレームの宛先MACアドレスや内部のMPLSラベルを確認し、「このフレームはデータセンター側(対向拠点)へ向かうべきものだ」と判断して、対向拠点宛てのパス(MPLSトンネル)に載せて高速に転送する。
ステップ4:データセンター側NTT局舎・アクセス網の通過
- 対向側のNTT局舎への到着:
M社網を通過したデータは、データセンター側の最寄りにあるNTT局舎へ届けられる。 - 局舎からデータセンターMDFへ:
本社側と同様に、NTT局舎側でも「M社が借り受けている回線から来たもの」として、物理的・論理的な経路に従ってデータセンターのビルへ送り出される。
ステップ5:データセンターでの受信とサーバーへの到達
- データセンターMDFからL3スイッチへ:
データセンタービルの地下やMDF室に届いた光信号は、光配線盤(ODF)やMDFを経由し、データセンター側のL3スイッチ(L3SW31など)に到達する。 - 電気信号への変換とサーバーへの配信:
L3スイッチのSFP+モジュールによって光信号から電気信号へ再変換され、最終的にルーティング処理を経て目的のVDIサーバーや業務サーバーへとデータが届けられる。
